スティーブ・モリヤマ 第3回
「シマジ先生がおっしゃる"運と縁とセンス"に共感します。ただ、わたしはそこに"命"の一文字をつけ加えたいのです」

撮影:立木義浩

第2回はこちらをご覧ください。

ヒノ そもそもの話ですが、スティーブさんはどうしてシマジさんにじかあたりしてみようと思われたんですか?

モリヤマ "じかあたり"ですか。面白い表現ですね。実は、1年以上前に友人から、何かの話の流れで「シマジさんという人がいて、面白いから今度紹介するよ」といわれました。そうこうしているうちに時間が経ち、また別の友人からサロン・ド・シマジのことを聞き、ふらっと立ち寄らせていただいたのです。ですから、"じかあたり"とはちょっと違うような気がします。偶然の重なり、いや、"偶然の必然"とでもいったらよろしいでしょうか。

立木 スティーブはあの驚くほど狭い、ただいるだけで葉巻の煙に燻されそうになるバーに行ったのか。

モリヤマ "高貴で淫らな香り" が漂う、お洒落なお店じゃないですか。しかも、あのスパイシー・ハイボールは絶妙な味です。ある種のエクスタシー、いや"小さな死"を迎えることができました、はい(笑)。

シマジ ほんのりと舌に残る胡椒の味に"逝って"しまったか(笑)。スティーブ、君は開高文豪の本を相当読みこんでるな。

モリヤマ もちろん開高先生の本は好きですが、今の表現はシマジ先生のご著書から学ばせていただきました。

 ヒノさんのご質問に戻らせていただきますと、これはいつもの習慣なのですが、お名刺をいただいたので短いお礼メールを差し上げただけなのです。もちろん、お忙しい先生のことですからお返事はいただけないと思ってましたし、いただけたとしても「またお店にきてね」ぐらいかな、と思っていたのですが、こんなお返事をいただき、グッときました。

「今度帰国するときスケジュールを教えてください。わたしがやってる"ネスプレッソ・ブレークタイム"でぜひ対談しましょうよ。それまでにあなたの著書は読んでおきます。わたしの作品も読んでくださいね。サロン・ド・シマジ広尾本店で2時間くらい対談して、そのあと食事に行きましょう。おやすみなさい」と。

シマジ まさに人生は運と縁とセンスだよ。そもそもスティーブがわたしにお礼メールを送ってこなければ、この対談だって成立しなかったんだからね。