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アイスコーヒーに洗浄機付き便座にママチャリ?
外国人の目にはこんな意外なものが「クール」に映っていた

インタビュー「書いたのは私です」鴻上尚史

―鴻上さんは'06年からNHK BSで始まった『cool japan』という番組で司会を務めています。日本在住の外国人たちを招き、「外国人から見た日本」について語り合う。10年目を迎えた今年、番組を通じて知った成果を『クール・ジャパン!?』(講談社現代新書)にまとめました。

番組が始まった頃は、ちょうど「自虐史観」が話題になっていたんですよ。日本を全面的に悪く言う人がいる一方で、全面的に肯定する人もいた。だけど、実際に日本が海外からどう見られているのか、どちらの人もよく知らないんじゃないか。日本を本当に知るためには海外からの視点を入れないとダメだろう。そう思って番組の司会を引き受けました。

当初は「クール・ジャパン」という言葉もそれほど知られていませんでした。ところが'10年に経産省が「クール・ジャパン室」を作り、「クール・ジャパン」という言葉だけが一人歩きしてしまったわけです。では、僕たちが追求してきたクール・ジャパンとは何だろう。そう思って本書を書きました。

―第1章では外国人が挙げた「日本のクール」が列挙されています。特に鴻上さんが意外に思ったものは何でしたか。

番組が始まって間もない頃、「日本に来てクールだと思ったものを挙げてください」と聞いたら、アイスコーヒーが挙がったんですよ。洗浄器付き便座、ママチャリ、アイスコーヒーの3つが挙がって、全部意外でした。そのとき、「この番組は当たるぞ」と思いましたね。アイスコーヒーがクール・ジャパンだなんて、日本人には思いもよらないじゃないですか。

特にヨーロッパでは、コーヒーは香りを楽しむものだから、氷を入れたアイスコーヒーを見て驚くわけです。だけど洗浄器付き便座と一緒で、体験してみると快適さに負けてしまう。

―クール・ジャパンというと漫画やアニメを連想する人も多いと思いますが、「ゆるキャラ」は外国人に不評だとか?

そうなんです。ゆるキャラは受け入れる外国人のほうが少ないですね。特に警視庁の「ピーポくん」など、警察機構やお堅い役所が可愛いマスコットを持っていることが理解されない。同じく、フィギュアも否定されることが多いです。ロリコンとか、エロチックとか、子供っぽいと評価されて。

ところがコスプレは「自己表現として素晴らしい」と褒める(笑)。考えてみれば、ハロウィーンなんかは一大コスプレ祭りですからね。同じオタク的なカルチャーでも、欧米人にとって、コスプレとフィギュアは全然違うものなんですよ。