【沿線革命046】鉄道が平日朝8時に首都直下地震に襲われても被害を最小に

阿部 等

かつて私が脱線に関わる研究・開発に従事していた際、過去の脱線事故の事例を学び、傾向を読み取れた。

速度超過・レール折損・軌間拡大・分岐器途中転換・車軸折損といった原因のものを除くと、ほぼ全てが車両の進行方向1軸目の脱線だった。また、進行1両目が最も多かったが、編成途中のものも結構あった。

そして、全車両が脱線することはなく、編成の中の1両だけが脱線、あるいはそれに引かれて後続車両が脱線というのがほとんどだった。

それらを見て、脱線した車輪はギリギリで脱線した、フランジ高さを数mm高くするだけで脱線事故の相当数はなくせると直感した。新潟県中越地震での新幹線脱線から推定されることと同一である。

フランジ高さをどこまで高くできる

鉄道には建築限界・車両限界と称するものがあり、地上設備と車両が接触しないように、それらの断面形状を定めている。前者は地上設備を建造できる範囲、後者は車両断面として許される範囲である。

そして、レール頭面より低い「下部」の建築限界も定められており、フランジが収まる箇所は、在来線の場合はレール頭面から37mmとなっている。新品時のフランジ高さは27mmなので、10mmの余裕を持たせている。

レールも車両も、磨耗進みも転削する場合もあり、施工や製造の誤差もあるので、余裕をゼロにはできないが、例えばフランジ高さを6mm高くして33mmくらいにしても、地上設備を改修することなく、正常に列車運行できるのではないだろうか。

「下部」の建築限界の37mmを改めるには、踏切敷板・レール締結装置・分岐器等の多数の地上設備を改修しなければいけないが、37mmの範囲ならそれをせずにフランジ高さを高くできる。

提案の第二として、高さが33mm、できれば検討を重ねて支障のない少しでも高いフランジの車輪を新造し、既存の車両の車輪を順に交換することを提案する。

東京圏の車両は約1万両だとしよう。1両当たり300万円だとして300億円である。これも、それにより救える命を考えたら、十分に安い金額だ。

レールブレーキで減速度を高める

【045】に、鉄道の鉄車輪と鉄レールの組合わせは、摩擦力(粘着力)が非常に小さいため、減速度が非常に小さいと書いた。車輪に強いブレーキ力を掛け過ぎるとロックしてレール上を滑走する。

そのため、現行の鉄道は、緊急停止でも100km/hからで30秒、300km/hからでは2分近くを要する。