【第88回】 「需給ギャップ」でインフレ率を測ることはできるのか?
図表1. 日本の資本ストック調整

設備投資は減少局面を脱しつつある

6月8日に発表された2015年1-3月期GDP2次速報値は、ヘッドラインである実質GDP 年率換算の成長率が+3.9%と、1次速報値の+2.4%から大幅な上方修正となった。特に、民間設備投資が、1次速報値の季調済前期比+0.4%から+2.7%へ上方修正されたことが全体の成長率の押し上げにつながった。

多くの論者が、「少子高齢化によってこれから人口が減少する日本国内で企業の設備投資が増えるはずがない」と、当たり前のように設備投資悲観論をぶち上げていたが、その声も聞かれなくなりつつある。さらに、機械受注や工作機械受注などの月次の設備投資関連指標もおおむね回復基調にある。

この設備投資回復の動きが、国内におけるデフレ解消プロセスの再開によるポジティブな動きであれば、大変喜ばしいことである。だが、これは、資本ストックと設備投資の関係(資本ストック調整の動き)をみないと何ともいえない(図表1)。昨年10-12月期までの資本ストック調整の動きをみると、国内の設備投資は、おおよそ、1.0%程度の潜在成長率を前提とした循環的な調整局面に入っていた。

この資本ストック調整の様子をみると、2012年第4四半期頃(すなわち、安倍政権発足)をきっかけにして、資本ストック調整の前提となる潜在成長率が0~1%に上方修正したようにみえる。すなわち、これは、資本ストック調整の動きからみると、消費税率が上がった昨年は、デフレ解消は、ほぼ「休眠状態」だったことを意味する(デフレ状態へ後退しなかった点はせめてもの救いであったが)。

時計回りに回る資本ストック調整を考えると、今年1-3月期の設備投資は前年比マイナスになっているはずだが、実際、1-3月期GDP統計での実質民間設備投資は前年比-1.6%だった(前述のように前期比はプラスだったが)。よって、今年1-3月期の設備投資も、1%の潜在成長率を前提とした循環的な資本ストック調整の中の動きである可能性が高いと考える。さらに、製造業の設備稼働率は1月以降、低下トレンドで推移している。

以上より、資本ストック調整からみると、設備投資は減少局面(底)を脱しつつあるが、楽観は禁物な状況であると考える。

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