日米安保法制~言葉のすり替えで重要な議論をかわす安倍総理
古賀茂明「改革はするが戦争はしない」フォーラム4 Vol.005より

現代ビジネスが発行するメルマガ、『古賀茂明「改革はするが戦争はしない」フォーラム4』。本記事は、そのメルマガの動画版で古賀茂明氏が述べた内容を記事化し、テキスト版として配信したもののなかから一部を公開しています。

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想定される「例外」の議論はなし

古賀: それで最初のテーマとして安保関連法制の話をちょっとしておきたいんですが、これは法案が10個あるということで、その中身一個一個が非常に大きな話なものですから、ひとつひとつ全部取り上げるわけにいかないんですね。

一方で安倍政権としても何とかして、それを通したいんだけれども、漠然とした不安というのは、なかなかぬぐえないわけですね。世論調査をやってもやっても、なかなか過半数、理解するっていうふうにならないじゃないですか。どうですか。

Gbiz: いやあ、不安ですよね(笑)。

古賀: 不安ですよね。

Gbiz: はい、見えないから。

古賀: その不安を払拭しなくちゃいけないんだけど、ところが、それは中身の議論に入ると、入れば入るほど不安になるという面があるんですよ。きのう(2015年5月20日)は党首討論というのをやりました。もう久々でしたよね。

これは日経新聞なんです。「古賀さん、何で日経新聞、読んでるんですか」とか言われそうなんですけれども、私は日経新聞と朝日新聞なども読んでいますが、この間、外国特派員協会の人たちと話していたら、みんな、東京新聞を読んでいましたね。

Gbiz: あっ、そうなんですか。へえーっ。

古賀: うん。東京新聞と、あと日刊ゲンダイがおもしろいとか言ってましたよ。1人じゃなくて何人もの人が東京新聞はマストだとか言っていた。

この中でいくつか、ちょっと私が気になったところがあるので取り上げてみますと、1つは後方支援とかをこれからやっていくと。

そうしたら、きのうの「報道ステーション」でもやっていましたけど、戦争に行くわけじゃないんだけど、戦争をしている人たち、まあ、そういう何っていうのかな、混乱がある、戦争があるというようなところに平和を実現するために、という。だから目的は戦争じゃなくて平和を目的にして、それで後方から、がんばっている仲間の国の人たちに支援をしようということをやるのを、そのために自衛隊は海外に行くわけですけど、もともと自衛隊は海外には行けないというのが基本です。

憲法で、そういうことになっているので、それをやるためには非常に限定して例外的に絶対それは戦争なんかにならない、戦争に巻き込まれないし、本当に平和のための活動なんだっていうものに限定して、しかもそれをしっかり国会で議論して出そうということで1回1回、法律をつくっていたりしていたわけですね。

今、出ているものでは、とにかくそんなことをいちいちやっていたら面倒くさいということで、それは国会で、いちいち承認しなくてもというような話があって、最終的に国会承認は必要なんだけど、法律を一個一個つくることはしないということで、やっているわけですよね。そしたらかなり自衛隊の隊員が相当危ないことに巻き込まれるんじゃないのという議論を、きのう岡田さんが取り上げていました。いくら自分たちが戦争しないんだと言ってもね。

Gbiz: 自衛隊員が。

古賀: うん。自衛隊が出ていって、いろんなものを運んであげるという、例えば海外の部隊を運んだりすることもあるんですよとか、いろんな補給をしてあげるんですよということをやっていたら、岡田さんは、そこまで細かいことは言いませんでした。普通に考えると、戦争で前線で戦っている人たちは、もちろん危ないですけれども、やっぱり補給路を断つというのは、ものすごく大事なんですね、戦争では。だからいくら自衛隊が出ていくところ、今は戦争は行われていないし、今すぐ何か戦争に巻き込まれるような地域ではないということで行ったとしても、行って補給を始めたということが、むしろ危なくなるということなんですね。

狙われちゃうでしょ。それは敵から見りゃ、そうなんですよね。だって自分と戦ってる相手に一生懸命せっせせっせといろんなものを補給しているんだったら、そこは断とうというのが当たり前の作戦なので。

Gbiz: 援助してるなら、そこを断つ、攻撃してということですね。

古賀: 逆にそういう支援活動を始めた途端に、そこが危ないところに実は、なるんですよ。それを、いやいや、危ないところを選ぶんだから大丈夫です、大丈夫ですっていうふうに。

Gbiz: そんなこと、言ってもということですよね。

古賀: 一生懸命、言い訳をしていましたけれども、これはちょっとおかしいなというふうに思いましたね。

そのときに、よく結局は戦闘に巻き込まれて戦争になっちゃうんじゃないかということを言うと、安倍さんが使う言葉に今までと同様に、今までと変わっていないんですよ。今までと同様、海外派兵っていうのは認められていないんだっていうふうに言うんですけど、必ずそれを言うときに、海外派兵は一般に認められていないんだっていう言い方なんですよ。

Gbiz: 「一般に」っていうのがついてるんですね。

古賀: 必ずね。これは、きのうの発言でも必ずついて。

Gbiz: セットで言ってるということね。

古賀: それは文章なんか、もう見てないですよ。頭に、しっかりそこだけは入っていて。

Gbiz: それが1つの言葉として(笑)。

古賀: 言葉なんです。「海外派兵は一般に認められていない」っていう言い方です。

Gbiz: 「一般に」は絶対抜けないんですね。

古賀: 「一般に」っていうのはもちろん例外があるという意味なので、本当は、じゃあ、例外は何なんですかという議論をしないといけないですね。そこを例外は何ですかという議論じゃなくて、こういうときには行くんですという議論を一生懸命するんですよ。こういうときはできる。だってこういうときは行かなきゃいけないでしょとか、こういうことはやらなくちゃいけないでしょという議論ばかり一生懸命するんですけど、それはいくら、そんな必要があるかないかということを議論するよりも、例外っていうのは何と何なんですか。それ以外にはないんですかという議論をちゃんとしなくちゃいけないだろうなと。そうしないとだまされちゃうと思うんですね。

Gbiz: そうですね。この言葉だけを聞くとね。

機雷除去は武力行使でも何でもない??

古賀: そうですね。それから集団的自衛権の話が1番中心的な課題になってきますけれども、その中の議論で、きのうも岡田さんと安倍さんの間で議論をしていたのは岡田さんが「例えば集団的自衛権でアメリカが、どこかと戦っている。集団的自衛権で日本も、そこに行ってアメリカを応援しますというときに戦争するっていうのは常に例えば公海上なんですか。他国の領土には絶対入らないんですか。領土、領海、領空に入らないんですか」って言うと、普通、戦争っていうのはどっちかの国で起きるわけですよね。広い太平洋の真ん中で、いきなり戦争してますっていうことは普通はないので、どこかの領土の近くでやっているわけでしょ。

アメリカ軍が例えば中東で、どこかの国に攻撃をして、反撃を受けているというときに日本の自衛隊が行ってアメリカを応援するというときに、一緒に向こうを攻撃してくれと言われたときに、私はとにかく領土、領海、領空には一歩も入れないんですというようなことがあり得るのかということを岡田さんは言っているわけですね。

特に、そのときに問題になってくるのは例えばイランがホルムズ海峡に機雷をまいた。あそこはタンカーの通り道になっているのでタンカーが通れなくなって、日本にとって石油が入ってこなくなるとけっこう大変ですよという場合に、前から安倍さんはそれを例示に挙げて、まさにそういうときっていうのは集団的自衛権行使を容認するときの日本の存立が危なくなるっていう事態に当たるんだ。当たる可能性が高いんだということをずっと言っていたわけですね。

そうすると機雷の除去をしに行くということが実際に行われる場合に1番ありそうなホルムズ海峡っていうのを見ると、これは基本的に、ものすごく狭くてオマーンとか、カタールとか、そういうような国とイランと国境がギリギリというか、海の境目が非常に狭いので、お互いの領海が重なり合うみたいな。ですから中間線が領海になるんですけど、そこに向こうは機雷をまいたというようなときに、そこに日本が入っていって、何か、武力攻撃とか、戦闘行為を……。戦闘行為っていうか、機雷を除去すること自体がこれは戦闘行為なんですね。素人的に考えると、いや、爆弾を片付けるだけだから、それって別に攻撃してるわけじゃないよねっていうふうに思うかもしれないですけど。

Gbiz: それも1つの。

古賀: イランから見ると、要するに、そこに何でまくのかというと、単にタンカーのじゃまをするためじゃないんですよ。要するに自分の領海の近くにアメリカの艦船が来て、そこから艦砲射撃とか、あるいはミサイルをバンバン近くから撃ち込まれる、あるいは、そこに空母がいて、そこで発着して飛行機が空爆をするという拠点にされたりすると困るから、それを防衛するために機雷をまいちゃうということですから、それをとるっていうことは、まさにアメリカ側の戦闘行為を助けるためで、逆にイランから見れば、一生懸命、守っているのをじゃまされるということなんで塀を壊されているようなものですよ。だから塀を壊す行為はいいだろうっていったって、そんなことは通用しないので。

しかも、これはもちろん国連とか、そういう規約から見ても戦闘行為なんですね。そういう戦闘行為をするって言っていたじゃない。それはやっぱり他の国の領海に入るっていうことでしょ。そういうことが十分、あり得るんでしょということに対して安倍さんが言うのは「いや、いや、そんなことないです」って。そのときのせりふが、またこれもいつも使うんですけど「だって機雷除去って、別に武力行使でも何でもないじゃないですか」と言いながら「われわれが行くときには武力の行使とか、あるいは戦闘行為を目的として海外の領土や領海に入っていくことは許されていないんです」っていうふうにいつも言うんです。

でも注意しなくちゃいけないのは「武力の行使、戦闘行為は『目的としては』行かない」って言うんですね。目的としているかどうかっていうのは、かなり主観的なことで、自分たちが目的じゃないと言えば、それで済むんですみたいに、安倍さんは、あとで言い逃れできるようにしているんだろうなと思うんですけど。

Gbiz: 徹底的なこの言葉で(笑)。

古賀: ここら辺は官僚の作文の、そこをきっちり大事なところは頭にたたき込んでとうとうと述べ立てているという感じですので、これは国民は、だまされないように気をつけなくちゃいけないというふうに思うんですね。

Gbiz: だまされちゃいますね。本当にそうですね。・・・(以下略)

古賀茂明「改革はするが戦争はしない」フォーラム4(2015年6月5日配信)より

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