オリンピック
新国立競技場問題 
混乱の背景に石原・猪瀬の
オリンピック利権あり!

石原慎太郎・元都知事に、もはや往年の「神通力」はない

新国立競技場の建設をめぐって混乱が続いている。

ハッキリしているのは、今の建設計画では2019年開催のラグビーワールド杯のメーン会場として使用できず、20年の東京オリンピックにも支障をきたすこと。

打開策として下村博文・文部科学相は、「屋根なし」で開業、8万人収容のスタンドの一部を仮設とする案を舛添要一・東京都知事に示し、同時に「従前の約束」であるとして、500億円の東京都負担を求めた。

五輪招致で暗躍した「石原軍団」

これに反発した舛添都知事は、「従前の約束などない」と反発、当初設計の「ザハ・ハディド案」が無理なら、計画を抜本的に練り直し、透明公平な形で、国民的合意を形成すべきだと主張している。

ラグビーワールド杯の新国立競技場開催にこだわっているのは、今年6月まで日本ラグビーフットボール協会会長を務めた森喜朗元首相である。

下村文科相が、予算削減、工期短縮の方向を打ち出したのは、東京オリンピック競技大会組織委員会会長でもある森氏の意向を受けたものだと言われており、事実、森氏は、下村氏と舛添氏との間に発生した争いを受け、こう舛添氏を牽制した。

「オリンピックをやりたいと言ったのはどこですか。東京都でしょう。知事が、『俺は何も知らん』というのもおかしな話だ」(6月3日開かれた内外情勢調査会の講演)

さらに、森氏は「石原慎太郎氏が知事時代、新国立競技場の建設費の3分の1を支払うことを約束した」という内幕を暴露した。

これが、下村氏が求めた500億円の根拠ということだが、舛添氏は、本誌の「舛添都知事日記」(6月9日配信)で、次のように反論、説得力はこちらにある。

「まず、500億円もの支出を伴う決定は、都議会の承認が必要であり、密室でのボス交渉で決めてよい話ではない。予算措置が議会で認められ、正式に決まった事項ならば、後継の知事である私もその決定に拘束される。しかし、そのような事実はないし、議会での審議もない」

「森=下村VS舛添」という対立構図は明確だ。では、なぜそうなったのか。

それには東京オリンピックが、16年の招致失敗から20年の招致成功に至るまで、「石原慎太郎とその側近たち」の手で進められたことを理解する必要がある。

石原氏自身は、深く利権に関わることはなくとも、国会議員生活も含めて40年近い政界歴を誇る石原氏には、設計、ゼネコン、設備などに親しい業者がいて、秘書を中心とする「石原軍団」が、利権を裁き、調整役を果たしてきた。

もちろん選挙もプロであり、「石原後継」が猪瀬氏に決まると、水も漏らさぬ選挙態勢を敷き、猪瀬氏に大勝をもたらした。その結果、石原氏の宿願のオリンピック招致は成功、13年9月、国際オリンピック委員会(IOC)は、20年五輪を東京に決めた。

この過程で、森氏が海外を駆け回って「票集め」に汗をかき、それが組織委会長に就任した理由である。そして、もうひとつ森氏が石原=猪瀬連合に期待したのは、国立競技場を新築、オリンピックのメーン会場として使用する前に、ラグビーワールド杯のメーン会場とすることだった。

森氏と石原氏の思惑はここで合致、新国立競技場の建設と、それへの東京都関与が規定の路線となる。500億円の“密約”はこうして生まれた。

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