安倍政権の暴走はなぜ止まらないのか? 
機能不全を起こした三つの暴走停止装置

『週刊現代』古賀茂明「官々愕々」より
〔PHOTO〕gettyimages

安倍政権の暴走が止まらない。軍事独裁国家が誕生してしまうと思うほどの勢いだ。

しかし、冷静に考えれば、そんなことはないはずだ。日本の自由主義、民主主義は憲法によって保障されている。
まず、憲法41条が定めるとおり、国権の最高機関は国会だ。国会が機能すれば、行政府の暴走を止めることができるはずだ。

次に、司法がある。政府が憲法違反の法案を国会に提出し、国会がこれを成立させても、憲法81条が定めるとおり、司法手続きに訴えれば最高裁判所が違憲判断を下し、その法律を無効にすることができる。

さらに、政府が暴走を続けても、憲法21条で表現の自由が保障されており、報道機関が厳しい政府批判を展開できる。これにより国民が正しい判断を下せば、選挙で時の政権を打倒することも可能だ。

これだけの歯止めが揃っていてもなお、「安倍政権の暴走が止まらない」と言うと、いかにも「騒ぎすぎ」という批判が聞こえてきそうだ。しかし、残念ながら、上述した3つの暴走停止装置が事実上機能停止しているという厳しい現実がある。

まず、国会の機能。政権の暴走を止める役割を担う野党がまったく頼りない。国家安全保障会議設置法審議の時は、民主党も維新の党(当時は日本維新の会)も賛成に回った。集団的自衛権そのものにも両党は実は必ずしも反対ではない。一見政府批判をしているようだが、実は民主党も維新の党もタカ派議員の勢力が強く、法案成立絶対阻止の運動を展開するという動きにならない。

次に司法(最高裁判所)だが、一票の格差問題で違憲無効の判断を避け続けてきたことからわかる通り、政府の重要判断を覆すことには極めて消極的だ。この姿勢は、'59年の砂川判決で、国家安全保障のような「高度に政治的な問題」については判断しないとして以来一貫している。

そして、マスコミの機能停止も深刻だ。集団的自衛権が違憲であることは、日本中の憲法学者に聞けば明らかだ。そうであれば、違憲立法を止めろという論調の記事を展開すべきだが、常に賛否両論を並べて、議論の余地があるかのように伝える。

世論調査でも、今国会中の成立に反対が多いなどという結果を報道して、反対のニュアンスを伝えているが、アリバイ作りに過ぎない。法案成立の時期を議論することは、成立を前提にしているということでもある。

テレビでも、キャスターが、「よくわかりません」「懸念があります」「拙速ではないか」とコメントするが、違憲立法をやめろとは決して言わない。政府に向けて中立を装い、一方で政権監視の役割も演じて、政府と国民双方に対するアリバイ作りをしているだけ。頭の中は、法案成立が前提となっている。

では、私たちに手段はないのだろうか。そんなことはない。

憲法21条が国民に保障する表現の自由がある。マスコミに頼るのではなく、何十万人もの人々が立ち上がり、官邸前に押し寄せたらどうなるだろうか。それでも、安倍政権が暴走を続けられるのか。

主権在民。今こそ国民自身がそれを示す時だ。

『週刊現代』2015年6月20日号より

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