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景気を左右するのはこの会社 
トヨタを見れば、日本経済がすべて分かる

絶好調なトヨタのお膝元で、何が起きているか
2兆円を超えるトヨタの利益は、下請けまでいきわたるのか?〔PHOTO〕gettyimages

絶好調のトヨタの影で

「メディアではベアだ、夏のボーナスアップだと騒いでいますが、なんのことはない。ちゃんとベアを実行できたのはトヨタさんと一部の大手下請けだけ。中小企業にも賃上げが広がりつつあるといいますが、真っ赤なウソですよ」

こう語るのは愛知県で金属加工工場を営んで30年になるトヨタの孫請け会社幹部。3月期決算で日本企業として初めての純利益2兆円をたたき出したトヨタ自動車の絶好調ぶりとは裏腹の沈んだ表情だ。

トヨタは'15年の春闘で4000円のベアを決定、昨年の2700円に続いて2年連続の賃上げとなった。親会社が儲かれば、その利益は子会社、孫会社へとしたたり落ちるはず—このような経済効果を「トリクルダウン」と呼ぶが、前出の孫会社幹部は「そんなものは机上の空論」と言い切る。

「豊田や名古屋の街を歩けば分かりますよ。景気がいいのは一部の百貨店だけ。トヨタグループの社員や外国人観光客が買い物に来る高級店は調子がいいようですが、あとは閑古鳥です」

アベノミクスがもたらした円安はグローバルにビジネスを展開するトヨタのような製造業大手にとって大きな追い風になる。だが一方で、輸入する原材料値上がりのダメージを受ける中小企業にとっては向かい風だ。ニッセイ基礎研究所の岡圭佑氏が語る。

「最高益をたたき出す大手が多い一方で、資本金が1000万円から1億円規模の中小企業は直近の1-3月期で前年比マイナス(4・4%減)に転じています。中小企業の値上げ交渉力の弱さが響いているのです」

昨年10月にみずほ銀行が出したレポートによれば、対ドルで10円の円安は上場企業に約1・7兆円の営業利益増をもたらす。ちなみにトヨタの場合、1円円安が進めば400億円の営業利益増が見込める。

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