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中部電力首相の要請に従い、浜岡原発の停止を決めた 【PHOTO】Getty Images

 浜岡原発の全面停止は、菅政権の浮揚策としては有効であったかもしれない。しかし、エネルギー政策の視界は晴れず、菅政権のチグハグさが浮き彫りになるばかりだ。

 菅総理は5月10日の記者会見で、2030年に総電力に占める割合として原子力は50%以上、再生可能エネルギーは20%を目指すとしているエネルギー基本計画をいったん白紙に戻して議論する必要があると述べた。

 ところが、海外への原発売り込みを推進してきた菅政権は、中部電力への浜岡停止要請において、4月上旬から「なぜ浜岡だけ」の理論武装を考えていたことが明らかにされている(読売新聞5月10日)。

 5月6日には、海江田経産大臣が、今回被災した3原発(福島第1、第2、女川)を除く14原発と2研究炉の16施設の津波などの対策について「適切」としたうえで、浜岡に限って「東海地震の安全性をより高めるため運転停止を求めた」と説明し(毎日新聞5月8日)、その浜岡も、津波堤防完成後は再開を認める確認をしている。

 すなわち、菅政権は原発体制維持を標榜し、原発に頼らないエネルギー政策の転換を行わないことを既定路線としていることが分かる。いわば、浜岡停止やエネルギー計画白紙は目くらましと言えよう。

 その上、「原発賠償機構」への資金拠出を渋る電力各社に対しては、「カネを出さないと浜岡のようになるぞ」という恫喝効果は抜群であった。浜岡停止により護送船団電力体制は強化され、9電力の地域独占廃止や、発送電分離などによる電力自由化の流れは進まなくなる可能性が高まった。

中央司令塔型電力供給体制は温存

 そもそも、浜岡以外にも活断層の上にある原発は他にもある。日本列島は地震の巣の上に存在するからだ。日本の国土面積は全世界の0.25%に過ぎないのに、地球上で起こるM6以上の地震の20%、同じく活火山噴火の10%が日本に集中している。

 半世紀ほど前、日本に原発を作ろうと考えた人たちは、原爆でやられた日本を、原発による「核見返し論」で日本の復活をはかろうとしたという。その頃は地震という敵が見えなかったのか。官僚機構は惰性で動く。統制システムも連動する。半世紀経って無関心だった人々も、「原発はヤバそうだ」と気づき始めた。

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