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【第87回】 FRBの「年内利上げ」をどう考えるか?
〔PHOTO〕gettyimages

決して「割高」ではない米国株

筆者は、今後の世界の株式市場の動向を考える上で、米国の利上げのタイミングは非常に重要な意味を持つと考えている。その意味で、最近のイエレンFRB議長、及び、フィッシャーFRB副議長の発言はきわめて重要である。最近の両氏の発言内容から判断すると、FRBが年内のどこかのタイミングで少なくとも1回は利上げする、というのが筆者の予想である。

イエレン議長も、フィッシャー副議長も、基本的には年内のどこかで利上げを実施しても、米国経済はそのマイナスの影響に耐えうると考えているようだ。また、イエレン議長は、5月初めのパネルディスカッション(ラガルドIMF専務理事との)でのQ&Aセッションで、「米国株が割高である」と発言した。そのため、米国株式市場は上値を追いづらい展開になっている。ただし、実際の発言内容を確かめてみると、米国株自体が「上昇しすぎ」という意味で「割高」といったわけではないようだ。

もう少し丁寧に内容をまとめると、1)株価の割高・割安は、長期金利(国債利回り)との比較で考えるべきだが、国債利回りと比較した米国株のバリュエーションは、歴史的にみてそれほど割高ではない、2)ただし、国債利回りの水準は歴史的にみて低下し過ぎであり、今後何らかのきっかけで急上昇するリスクがある、3)国債利回りが急上昇した場合、国債利回りとの関係でみた米国株も大きな調整を余儀なくされるかもしれない、 4)国債利回りが急騰するリスクは、FRBによる利上げをきっかけに起こるかもしれない、という内容であった。

確かに、米国株は、国債利回りとの関係でみると、決して「割高」ではない。一般的に、株価が「割高」か否かを測る場合、「イールドスプレッド」といわれる指標が用いられる。イールドスプレッドとは、国債利回り(10年物国債利回り)から株式の益利回りを引いたものである。「株式の益利回り」とは、PER(株価収益率)の逆数(1÷PER×100%)で算出され、PER(株価収益率)とは、株価を1株当たり利益で割ったものである。

すなわち、株式の益利回りとは、購入した株式(株価が購入価格、すなわち、買い入れコストとなる)がどの程度の収益を生み出すかという株式保有による利回りを意味する指標となる(より直接的には「配当利回り」を用いるが、将来的に高い成長余地がある場合、企業は利益を配当に回すよりも、投資に回すほうが将来時点でより高い利益、ひいては配当収入をもたらすことになるので、株価と企業の利益の関係であるPERを用いている)。

図1. 米国のイールドスプレッドの推移
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