【サメ辞典5:ドチザメ】世界で大ブーム! ダイバーが殺到する
シャーク・ダイビングの聖地は東京から日帰りできるんです

撮影 塩田 寛 著者とドチザメ。サメが砂を巻き上げて元気に泳いでいる。

世の中にはサメが怖くて海に入れないという人がいるいっぽうで、サメと一緒に泳ぐシャーク・ダイビングが流行っていることをご存じだろうか。昔から、映画ジョーズのモデルになったホホジロザメをケージ(檻)の中から観察する南アフリカのツアーはとても人気が高い。サメ好きな人が一度は体験したいアクティビティなどと言われているが、近年はケージなしでサメと戯れるダイビングスポットにも人が集まっている。

最近、日本人も行くようになったのは、バハマのイタチザメダイビングだ。ここはケージなしに大きなサメを間近で見ることができる。わたしもそこでシャークウォッチング船をチャーターしようと思ったのだが、問い合わせたところ、3年待ちだという。この予約状況を見る限り、想像以上のサメの人気ぶりが窺える。

世界有数のシャーク・ダイビングスポット

シャーク・ダイビングはかつて海外まで行かなくてはならないアクティビティであった。値段も55万円前後と高価。さらに予約も難しいため敷居がとても高い。そんな状況の中、日本にシャークダイビングのサービスが誕生した。場所はどこかと思ったら、東京から車で日帰りできる距離、千葉県の房総半島の南端にある伊戸(いと)という場所だった。

国内のシャークダイビングだなんて、たいしたことがないのでは? と思ったが、なんでも300匹以上のサメの乱舞が見られるということで週末は予約が殺到しているとのこと。なぜなら世界中を探しても、それだけ多くのサメをコンスタントに観察できる場所はないからだ。

伊戸で見ることができるサメは「ドチザメ」という種類。沿岸域や海底に近い場所を好み、性格はおとなしく、こちらから危害を加えない限り、人を襲うことはまずない。

子どもは18~20cm前後の大きさで母ザメから平均9~10匹生み出される。成熟サイズはオスが93~103cm、メスが106~117cmで最大1.5mに達する(Sharks of the worldより)。けして大型のサメではないが、泳ぎ方や身体の形が、わたしたちの想像するサメそのもので、シャープでかっこいい。それは、このサメの姿形に魅了されてサメ研究者になった人もいるほどに。

撮影 塩田 寛 一面にサメ。多いときは300匹以上いることも。

今回、ドチザメを日本一観察しているであろう、伊戸ダイビングサービスBOMMIEの代表 塩田 寛氏にこのサメの魅力を聞いてみた。塩田さんは南房総でダイビングサービスを開業しようとポイントを探していたときに、たまたま天の川のようにいるドチザメの群れを見つけ、感銘を受けた。その後、懇意にしていた当時の漁業協同組合長から、定置網にドチザメが迷い込んで困っているという相談を受け、定置網から離れた場所でドチザメを餌付けしておびきよせることで、その問題を解決したのだ。よって、ここのダイビングサービスは一年中、ほぼ毎日ドチザメダイビングを実施している。だから、だれよりも自然界にいるドチザメに詳しいはずだ。