経済・財政
菅官房長の功績=観光客増の足を引っ張る!? 安倍首相のやじ
自らのやじで、政権に暗い影が忍び寄る photo Getty Images

ふだん、感情をあらわにせず、自慢話もしない官房長官・菅義偉はこと訪日観光客の話となると、相好を崩す。4月の訪日外国人客数(推計値)は、前年同月比43.3%増の176万4700人となり、月間ベースの過去最多を3ヵ月連続で更新。菅は「今年の観光客は1800万人を超すのは確実」と鼻息が荒い。昨年、日本を訪れた外国人数(推計値)が前年比29.4%増の1341万3600人だった。

しかし、政権運営全般が順調かと言えば、否である。

首相・安倍晋三が衆院平和安全法制特別委員会で質問者に向かって放った「早く質問しろよ」というやじが非難を浴び、政権の命運がかかった安全保障関連法案の行方に暗い影が忍び寄っている。

菅が主導したビザ緩和と免税品拡大

観光客増加の主因は円安だ。だが、中国や東南アジア各国に対するビザ(査証)免除の拡大や、8%免税品の対象範囲の拡大がなければ、これほど伸びず、「爆買い」現象も起きなかっただろう。この規制緩和を主導したのが菅だった。

菅がビザ免除拡大を提案すると、法務省などが「外国人の犯罪が増えます」と言って抵抗した。官僚はつねに前例を踏襲しようとし、官僚の上に立つ大臣は官僚に悪く思われたくないという心理が強く働く。このために、首相や官房長官の役割が重要になる。

「官邸の指示」……。

これは現政権において、水戸黄門の印籠みたいなものだ。不安定でいつ倒れても不思議でない政権なら、官僚は官邸の指示を聞き流すが、現政権は強力であり、かつ当分続く。となると、官邸の指示は無視できなくなる。安倍や菅が知らない話が、霞が関で「指示」として出回るほどだ。

この力を背景に、菅はインドネシア向けのビザ免除に加え、フィリピンとベトナムに対してもビザ取得要件を大幅に緩和。今年1月から中国人に対して、有効期間内なら何度でも出入国できる「数次ビザ」の発給要件を緩和した。

また、消費税8%を免税する対象品目について昨年10月から、「消耗品以外の一般物品」、つまり家電製品、着物・服、カバンなどに限られていたのを、薬品類、化粧品、食品、食品など消耗品に拡大した。これも菅の発案だった。

菅の指示に対し、財務省は当初、「国土交通省から要求がありません」と、木で鼻をくくったかのような答えだった。「要求がないところに予算なし」というのが、財務省の基本的発想だ。

しかし、菅は重ねて要請し、財務省出身の官房長官秘書官が観光を主管する国交省と財務省の間を調整し、実現にこぎ着けた。このことが大きく影響して、日本に住んでいない外国人の消費金額は2014年度に、2兆2344億円と過去最高を記録した。

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