防衛・安全保障
南シナ海で何が起きようとしているのか? 
「日米欧vs.中ロ」は一触即発

ロシアの対ドイツ戦勝70周年記念式典でのプーチン大統領と習近平国家主席 photo Getty Images

南シナ海の緊張が激化している。5月20日には中国による岩礁の埋め立て・軍事基地化を警戒し偵察飛行していた米国の対潜哨戒機に対して、中国海軍が8回にわたって退去するよう警告する事件も起きた。米中はどうなるのか、そして日本は…。

前CIA副長官が「中国との戦争やむなし」発言

米中間の緊張はいまや「戦争も避けられない」といった過激な声まで飛び出すほどだ。米中央情報局(CIA)のマイケル・モレル前副長官は20日、CNNのインタビューに答えて「南シナ海で中国の攻撃的行動が引き起こしている米中間の対立は、まさしく将来いつかの時点で戦争に突入する危険性を示している」と語った。

するとその5日後、今度は中国の共産党系新聞「環球時報」が「米国が中国に人工島の建設停止を要求するのをやめなければ、米国との戦争は避けられない」という論説記事を掲載した。米国と戦うことも考えて、中国は「注意深く準備すべきだ」とも指摘した。

まさに売り言葉に買い言葉のような展開である。米国の偵察飛行は公海上だったが、米国は近い将来、埋め立て現場から12海里以内にも進入する構えだ。そうしなければ「12海里以内は我々の領海」という中国の主張を認めた形になって、それは絶対に認められないからだ。

私は日米首脳会談直後に書いた5月1日公開のコラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/43155)で「今後の焦点は尖閣諸島ではない。むしろ南シナ海だ」と指摘した。それから、わずか3週間でこの展開である。

中国は26日に発表した国防白書で米国の名指しを避けながらも「地域外の国の南シナ海への介入」を指摘して「海上軍事闘争への準備」を呼びかけた。この調子だと、南シナ海を舞台にした米中の対立は一段と激化していくだろう。

緊張の現場は「南シナ海」だけに限らない。習近平国家主席はロシアの対ドイツ戦勝70周年記念式典に出席し、プーチン大統領と肩を並べて軍事パレードを観閲した。その直後、中国とロシアの艦隊が地中海で合同軍事演習を実施した。

地中海は欧州の裏庭である。ロシアによるクリミア侵攻以来、欧州はロシアを脅威とみなして、北大西洋条約機構(NATO)の軍用機を東欧やバルト諸国に派遣し厳戒態勢を敷いてきた。「これ以上のロシアの無法は許さない」という決意の表れである。