【沿線革命044】 人口急増の湾岸部の交通を良くできるか、あと半年が勝負
阿部等(交通コンサルタント)
湾岸部の交通はBRT・ロープウェイ・ゆりかもめで万全なのだが・・・ photo Getty Images

湾岸部は、住む人も働く人も遊び場も増え続け、東京五輪も開催されるのに深刻な「鉄道不足」だ。それを解消できるかは、この半年が勝負だ。

湾岸部の交通の未来を占うシンポジウム

さる5月26日に、銀座街づくり会議シンポジウム 銀座のモビリティ・デザイン2「銀座ににぎわいを運ぶ交通を」が開催された(http://www.ginza-machidukuri.jp/event/event01/150526.html)。150名もの参加があり、関心の高さがうかがえる。

銀座は、湾岸部と結ぶ交通の都心側拠点の1つと位置付けられ、大学・東京都・中央区・地元のキーパーソンが登壇し、熱心な議論がされた。それを聞き、湾岸部の交通を良くするにはタイミングを失さずにすべきことが山積みで、工期から逆算して本当にあと半年が勝負だと痛感した。

湾岸部は、今後10~20年間、日本で最も人口が増加するエリアだ。と言っても、それは人口増を支える交通の充実が伴った場合のことで、もし充実できなかった場合は、居住地としても就業地としても魅力が急落し、空室ばかりの廃墟ビル群になりかねない。

そんなことは誰も想像していないだろうが、そうならないことを願い、あえて最悪のシナリオを示そう。

利便性の高い公共交通が整備されず、やむなく多くの人がマイカーで移動して道路渋滞が常態化すると、公共交通でもマイカーでも移動に時間が掛かり、住むにも、企業が立地するにも、遊びに行くにも魅力が下がる。

いったん魅力が下がると、とめどなく下がりかねない。何しろ、日本はこれから、人類文明で初の急激な人口減少社会を迎える。23区内ですら、土地や建物がどんどん余ってくる。交通の不便な所は、どんどん寂れていく。

いったん寂れ出すと、売り物件は売れ残り、貸し物件は借り手が現われず、空室が増えると治安も悪化し、ますます寂れていく。投資物件としての価値も暴落する。購入した人は、多額のローンを抱えながら資産価値は下がり、よそへの引越しもできなくなる。

と暗い話を書くために【沿線革命】はあるのではない。既に湾岸部の交通をテーマに10回も書いてきた。それだけ、湾岸部の交通は東京の、日本の未来にとって重要だということだ。

それらを振り返り、湾岸部の交通の未来を改めて考えてみよう。