日本のスタートアップはアジアで勝てない! 日本はアジアの起業家に投資して、二重のリターンを狙え!

2015年05月26日(火) 田村 耕太郎
Photo by thinkstock

勃興するアジアのスタートアップ

「厳しい言い方になるが、日本のスタートアップはシリコンバレーと比べて劣るものが多いし、アジアの最先端のスタートアップと比較してもイケてないと思う。数もサービス内容も規模も多様性への対応力もアジアに全く勝てない。日本の起業家たちは、国内限定のスタートアップイベントで盛り上がり自己満足するのはやめて、もっとアジアに出てきて現実を直視してはどうか?」

アジア有数のスタートアップイベントの取材に来ていたシリコンバレーの有力メディアの記者たちの言葉だ。

「東南アジアのスタートアップシーンはある意味、シリコンバレーより盛り上がっている。シリコンバレーは高い水準で安定しているが、アジアは急成長している。特にマーケットプレイス系や金融技術の分野では、すでにシリコンバレーより優れた部分もある。シリコンバレーの起業家も油断できない」

この発言には正直驚かされた。彼らは、日本人のプレゼンスの低さも指摘した。

「日本人は集団で来ていたがプレゼンスがなかった。日本人とばかり交流していて、アジア各国の起業家たちとネットワーキングをしようとしている人はほとんどいない。壇上でもプレゼンスがほとんどなかった」

日本人同士で日本語で交流していて、アジアで成功するわけがない。英語を話せる人がたくさんいるのは間違いないのだから、もっと積極的に交流すればいいのに、残念である。

「日本の起業家はアジアのスタートアップシーンを甘く考えているのかもしれない。日本で成功すればアジアでも勝てると。しかし、両方を見ている私は断言する。アジアの方がずっと進んでいて、多様性も高く、英語は当たり前で、起業家がエネルギーに溢れている。最初からシンガポールを含めたアジアで起業していないとアジアでは勝負にならない」

記者のこの言葉には、私も同じことを感じていた。アジアには日常生活に課題がたくさんあり、課題解決のために起業する若者が後を絶たない。一方、快適な日本では日常生活に課題は少なく、アメリカのネタを翻訳してカネ余りのIPOバブルに乗って小銭稼ぎをしようという人たちが多いように感じる。それでは世界で勝てるわけがない。




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田村 耕太郎

(たむら・こうたろう) 前参議院議員。エール大学上席研究員、ハーバード大学研究員などを経て、世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したシンクタンク「ランド研究所」で唯一の日本人研究員を務めた。
国立シンガポール大学公共政策大学院名誉顧問、新日本海新聞社取締役東京支社長。
1963年生まれ。早稲田大学卒業、慶応義塾大学大学院修了(MBA取得)。デューク大学ロースクール修了(法学修士)、エール大学大学院修了(経済学修士)、オックスフォード大学上級管理者養成プログラム修了、ハーバード大学ケネディスクール危機管理プログラム修了、スタンフォード大学ビジネススクールEコマースプログラム修了、東京大学EMP修了。
2002年から10年まで参議院議員を務めた間、内閣府大臣政務官(経済財政、金融、再チャレンジ担当)、参議院国土交通委員長などを歴任。
シンガポールの国父リー・クアンユー氏との親交を始め、欧米やインドの政治家、富豪、グローバル企業経営者たちに幅広い人脈を持つ。世界の政治、金融、研究の第一線で戦い続けてきた数少ない日本人の一人。
2014年8月、シンガポールにアジアの地政学リスクを分析するシンクタンク「日本戦略情報機構(JII)」を設立。また、国立シンガポール大学(NUS)リー・クワンユー公共政策大学院の兼任教授に就任し、日本の政府関係者やビジネスリーダーに向けたアジア地政学研修を同校教授陣とともに実施する。
著書に『君に、世界との戦い方を教えよう 「グローバルの覇者をめざす教育」の最前線から』などがある。