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「コレステロール値」の嘘 第2部 健康診断の「コレステロール基準値」はこんなにいい加減。 血圧、血糖値に続いて、ここでも
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米国では撤廃された

以前は、海外の学会のガイドラインでも、LDLコレステロールは140mg/dℓが基準値とされていたが、米国では、すでにその基準値は撤廃されているという。名古屋市立大学名誉教授の奥山治美氏が言う。

「米国で'13年に発表されたガイドラインでは、『(基準値を設けることは)根拠がなかったので放棄する』と明確に書いてあります」

日本で当たり前に使われている基準値は、すでに時代遅れとなっているのだ。

そもそも、基準値を作るもととなった「血中のLDLコレステロール濃度が高ければ高いほど、心筋梗塞による死亡率が高い」という研究データ自体にも問題があるとの指摘もある。

「もとになった研究の調査対象には、『家族性高コレステロール血症』の方が含まれています。家族性高コレステロール血症は、生まれつきコレステロール値が高い遺伝性の病気。この患者は、心筋梗塞で亡くなるリスクが、そうでない人に比べて10倍以上も高いのです。

家族性高コレステロール血症の人を除くと、コレステロール値と心筋梗塞の死亡率の関係はほぼ完全になくなります」(富山大学名誉教授・元日本脂質栄養学会理事長/浜崎智仁医師)

つまり、この基準値は、遺伝性の疾患を抱えていない人にとってはほとんど意味のない数値ということになる。

それだけでなく、「コレステロール値が高いほど健康にいい」という研究結果も、国内外に少なからず存在するという。浜崎医師が続ける。

「コレステロール値が高い人は、感染症にかかりにくいんです。

LDLコレステロールは、体内に入った細菌やウイルスの毒性を中和する性質を持っている。肺炎などの感染症や、バクテリアが引き起こす内臓疾患を予防する役割もあるのです」

浜崎医師は、日本人5000人以上を5年以上にわたって追跡調査した研究で'95年以降に発表されたものを集め、分析した。すると、コレステロール値と死亡率に次のような関係が浮かび上がってきたという。

「まず男性では、血中の総コレステロール値が160mg/dℓ未満の人たちは、標準値(160~199mg/dℓ)の人たちより死亡率が6割も増えていることがわかりました。さらに、コレステロール値が増えるに従って、総死亡率が低下していたのです。