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「コレステロール値」の嘘 食事制限はまったく無意味だった

シリーズ第1部 理事長を直撃取材!
週刊現代 プロフィール

実際に患者さんを診察していると、卵をたくさん食べていても血中コレステロールが上がらない人もいる。

それなのに、多くの医者は誰に対しても『卵は一日1個まで』と指導していた。今回の声明は遅きに失したと言ってもいいくらいです」

医療現場も大騒ぎ

血中コレステロール値が摂取量と関係ないとすれば、何が影響を与えるのか。『コレステロール治療の常識と非常識』などの著書がある、東京都健康長寿医療センター顧問の桑島巌医師が解説する。

「そもそもコレステロールは、7割が体内で作られます。食事から摂取するコレステロールは一部に過ぎず、食事から多く摂れば、体内で作る量を減らすという調整機能が備わっています。

それにコレステロールは、低ければいいというものではありません。コレステロールは細胞をつくるために不可欠な成分なんです。消費されずにゴミとして血管内に残る量が問題なわけです。

だから、いくら摂取しても、代謝できれば、血中コレステロール値が高くなることはないんです」

 

前出の池谷医師に今回の声明で医療の現場にどのような影響があるのかを尋ねた。

「とくに栄養指導が大きく変わると思います。卵の摂取制限もなくなるでしょう。要は全体の食事バランスの中でコレステロールを考える必要があるということです。今後はコレステロールだけを過剰に気にする必要はありません」

コレステロールはもう気にする必要はない。だが、突然そう言われても、釈然としないものがあるのも事実である。いままでの我慢が無駄だったことに対して、基準を定めてきた動脈硬化学会から一言断りがあってもいいはずだ。

しかし、声明文を読んでも、どこにも「私たちは間違っていました」という釈明は見当たらない。

そこでこの点について話を聞くため、日本動脈硬化学会に取材を申し込んだが、広報担当者は「声明文を精読してください」の一点張りだった。

また同学会に所属する医師に取材を申し込んでも「学会の声明文に沿った記事でないと協力できない」と言うばかりである。

本誌は同学会の佐藤靖史理事長を直撃した。

仙台駅から車で約30分、勤め先である東北大学加齢医学研究所から車で約20分の距離の高級住宅地の一角に、佐藤理事長の自宅はある。

夕方、黒のBMWが現れ、中から佐藤理事長が出てきた。

記者が声をかけると、「そんな、急に来られても困るよ」とギョッとした表情で答えた。

—今回出された声明文を読んで、『いままでの食事制限は何だったのか』と思う人も多いと思いますが?

「それは……声明文を読んでください。(記事が)どんな内容になるのか事前にわからないと学会として協力できない」

—取材には答えられないということでしょうか?

「取材拒否ではありません。とにかく広報を通してください」

佐藤理事長はこう言い残し、足早に自宅に消え去った。

後日、佐藤理事長の言う通り、改めて同学会に取材を申し込んだが、結局、取材には応じてもらえなかった。

彼らはなぜ説明を嫌がり、取材から逃げ回るのか。その態度は今回、渋々認めた食事制限の撤廃が、彼らにとっていかに「不都合な真実」だったかを物語っているようだった。

>>>「第2部 血圧、血糖値に続いて、ここでも健康診断の「コレステロール基準値」はこんなにいい加減」はこちら

「週刊現代」2015年5月30日号より


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