FOOTBALL STANDARD

二宮寿朗「マリノスタウン、勇気ある撤退とするために」

2015年05月22日(金) 二宮 寿朗

中村俊輔も絶賛の環境

 あれは2004年12月、横浜国際総合競技場で行なわれた横浜F・マリノスと浦和レッズのJリーグチャンピオンシップ第1戦でのこと。

 岡田武史監督率いるF・マリノスは2連覇を懸け、対するギド・ブッフバルト監督率いるレッズは初優勝を懸けて臨み、6万5000人近い観衆で膨れ上がっていた。盛り上がりを見せるスタンドの大型ビジョンに、「マリノスタウン」建設のプロモーションビデオが流された。洒落たフォルムのクラブハウス完成図が、とてもまばゆく映った。

 J随一と言っていいグレードのクラブハウス。
 2007年にオープンし、約45000平方メートルの広大な敷地内にはクラブハウス、天然芝2面、人工芝2面のグラウンドに、観戦スタンドが並ぶ。クラブハウスには大浴場やプール、トレーニング施設、メディカルルーム、食堂と必要なものはすべて完備され、事務所機能、下部組織もひとつにまとまっている。横浜駅から徒歩10~15分とサポーターもアクセスが良く、ショップなども併設されている。まさに“理想形”と言える。

 2013年、JリーグMVPに輝いたチームの大黒柱・中村俊輔が、Jリーグアウォーズでの受賞後にこう語ったのが印象的だった。
「試合が終わってマリノスタウンに帰って、プールに入ってストレッチして、(エアロ)バイクをこいで、交代浴をして……。その間、1時間以上も待ってくれているトレーナーがいる。そういうことに感謝したいし、チームメイトを含めたいい環境が(MVPを受賞できた)要因だと思う」

 理想のクラブハウス、自慢のクラブハウス。
 しかしながら5月21日、マリノスタウンからの撤退がクラブより発表された。公式サイトに「2016年5月にマリノスタウンの定期借地契約が満了となることを受け、新たなオフィスを新横浜公園近隣地に確保し、チームの練習場として新横浜公園内施設を利用する」と声明を出した。

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