【有料会員限定記事】ラリー・サマーズの「転向」とヒラリー・クリントンの選択
~民主党指導層における万人平等主義の台頭(文/トマス・エドソール)

〔PHOTO〕gettyimages

雇用創出がないことがアメリカ経済の大きなひずみの原因

ラリー・サマーズは2013年に、民主党リベラル派からのプレッシャーにより、連邦準備制度理事会議長職の候補から抜けた。ところが最近、彼は民主党の主導的経済政策のブレインとして台頭している。この元財務長官が展開しつつあるメッセージは、かつての批評家たちから多くの支持を得たようだ。

サマーズの台頭の背後には、党支配層の多くが、これまで標榜してきた新自由主義的な考えを捨てたことがある。この考え方は、規制のない市場とグローバルな貿易が労働者とCEOの双方にとって利益ある成長を生むという信念が前提となっている。

ところがサマーズが行った現在の経済状況分析は、現行の構造に基づく自由市場型資本主義は、大きなひずみを生んでいることを示している。この分析によると、このひずみはピラミッドのトップ層に属する者に年間1兆ドルの利益をもたらす一方で、下層80%の者には毎年1兆ドルの損失を与えてきた。

2月19日に行われた、民主党中道派のシンクタンクであるハミルトン・プロジェクト主催の労働の将来に関するパネル・ディスカッションで、サマーズは正統派の経済通念を真っ向から否定する意見を述べている。世で広く受け入れられている、もっとも有効な失業対策は教育と職業訓練だという考えに対し、それはまるで現実から目を背けることだと一蹴しているのだ。

サマーズは、「問題の中心」は充分な職がないことだと指摘する。一方が職を得られるように支援すれば、もう一方の別の誰かは仕事を得られなくなるだけだ。職に対する需要自体を変えるような何かをしなければ、限られた数の職を巡る争いで誰かを助けるだけで、職を得られる人の数は結局、職の数に限定される。

彼は、学校教育と職業訓練には「大賛成」だが、労働市場の問題解決として、それは「基本的に言い逃れに過ぎない」と付け加えた。

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