賢者の知恵
2015年05月29日(金) 週刊現代

<追悼>霞が関のスーパーエリート、財務省トップは執念の人「がん再発」香川俊介(事務次官)の選択と闘い

週刊現代
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豪腕・小沢が認めた突破力。消費増税の実務を一手に担った実行力。そして一度目のがんを見事に克服した精神力。財務省内で若手官僚から「生きるレジェンド」と呼ばれる男を、再び試練が襲った。

杖をつきながら官邸へ

「今度こそ、相当悪いみたいだね……」

日本の国家財政を一手に担い、「省庁の中の省庁」と呼ばれる財務省。そのトップの健康問題が永田町や霞が関でひそかな話題になっている。

香川俊介事務次官(58歳・'79年大蔵省入省)。4月下旬から香川氏のこんな姿が官邸周辺でたびたび目撃されている。

「4月21日には杖をつきながら官邸に入ってきました。安倍晋三総理と面談し、'20年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化に向けた歳出削減案について、担当者の説明に同席しています。体調不良を押して総理にご進講に上がる—その姿には鬼気迫るものがあります。それもすべて、消費税10%を実現するための執念です」(官邸関係者)

香川氏は若手時代から将来を嘱望されるエリート財務官僚だった。

「現実をしっかりと見据えた上で、いかに理想に近づけるかを考えられるリアリスト、というのが若手時代の評価です。この点が武藤敏郎氏(71歳・'66年入省)や勝栄二郎氏(64歳・'75年入省)といった歴代の大物次官に気に入られました」(財務省有力OB)

なかでもその名を上げたのは、'87年に竹下登内閣で官房副長官となった小沢一郎氏の秘書官を務め、小沢氏に信頼されたことだった。有力OBが続ける。

「霞が関の官僚がもっとも苦手とするタイプの政治家、小沢氏に買われたのは、面従腹背で本心では政治家をバカにしている他の財務官僚と一線を画す、親身で丁寧な姿勢でした。小沢氏が小渕恵三氏との政争に敗れて経世会を追い出された後や、細川護煕氏を総理にした非自民連立政権の崩壊後など、小沢氏が政界で冷や飯を食っているときも彼の元を頻繁に訪れ、復権に向けた政策提言をし続けた。そして、香川氏は小沢氏から『身内』とまで言われるようになったのです」

香川氏は、小沢氏だけでなく、さまざまな政財界の要人に食い込んでいく。その下敷きにあるのが、出身校である開成高校の人脈だ。

「同じく開成高校出身で元次官の武藤氏が会長を務める『金融開成会』('09年発足)のメンバーで、大手証券会社やメガバンク、ベンチャー起業家まで幅広く付き合っています。ちなみに香川氏はIT企業『IIJ』創業者の鈴木幸一会長と旧知の仲で、勝氏を鈴木氏に紹介。その結果、勝氏が同社の社長へ『天下り』することになった」(財務省関係者)

入省以来、エース級が集まる主計畑を歩み、OBの天下り先斡旋にも尽力してスーパーエリートの道を歩んできた香川氏だが、この数年は病魔と闘う人生だった。

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