「自分の意見を伝えられる子どもに育てる」
【第9回】自分の意見を持つための着眼点

〔PHOTO〕Thinkstock

本来、自分が知らないことについて意見を持つことはできません。しかし、ネット上には、内容を知らないのに、あるいは、ちゃんと読んでもいないのに、賛成したり、批判したりする声を多く見かけます。本当は、それは「意見」ではありません。単に反射的に言葉を発しているだけです。

意見を語るにはその事柄をきちんと知らなければいけません。とはいえ、いきなり目にした事柄を、専門家レベルにまで詳しく知ることはできません。そして、その必要もありません。

要は、ポイントだけ知っていればいいのです。では、そのポイントとは何か?

ロジカルに整理するだけでは、「自分の視点」は生まれない

自分の考えをつくる、自分の意見を言えるようにする、というと「ロジカルシンキングを身につければいい」と考えがちです。5W3Hを確認したり、3Cに整理したり、さらにはマッキンゼーで生まれた「MECE(漏れなくダブリなく)」という考え方をすれば、自分の考えが生まれるんでしょ? と考えている人が多いように思います。

たしかに、ロジカルシンキングは重要です。ロジカルに考えられなければ、的外れなことばかりコメントしかねず、妥当な考えを生み出すことができないからです。

ロジカルシンキングは、目の前に存在しているものを整理することには便利だと思います。でも、現状から新しい発想を生み出すのには、使いづらいものです。もちろん、ロジカルシンキングを極めている人は、現状整理がとことんうまく行っているので、新しい視点や発想ができるでしょう。

でも、そこまでたどり着いていなければ、なかなか「自分の意見を持つ」というところまでは行かないと思います。

たとえば、「日本の政治について、どう思う?」と聞かれたとしましょう。ここでさきほどの「MECE」の概念を活用してみます。

ところが、日本の政治という漠然としたテーマでは、「モレなく、ダブリなく」と言われてもなかなか難しいものです。テーマが大きすぎますし、そもそも前提知識がなければ、整理することもできません。

そのため、自分でテーマを小分けにする必要があります。たとえば、「日本の政党」「政治が扱う範囲・事柄」などでしょうか。

ここでさらに難しいのは、その小分けにする切り口を自分で考えなければいけないということです。「できる人にとっては簡単」ですが、できない人にとっては、「それをどうやるかを教えてくれよ」という話になります。

また、他社が発売した新商品について考えてみましょう。「A社の新商品、どう思う?」と聞かれたとします。

みなさんは、そのA社の新商品について意見を言わなければいけません。ここで、ライバル企業の商品をMECEに(もれなくダブリなく)リストアップしても意味がありません。「そんなことはわかってる!」と怒られてしまうかもしれません。ライバル企業の商品をリストアップしても、それは単なるデータの羅列であって、みなさんの意見ではないからです。

MECEの概念を使って、状況を整理することは重要です。しかし、それだけでは状況の整理にしかならず、自分の考えを出していることにはならないのです。

ここで問われているのは、「それを見て自分が、何を考えるか、何を感じるか?」です。ロジカルシンキングは重要ですが、ロジカルに整理し、考えたからと言って、"自分オリジナルの視点"が生まれるわけではなく、自分の意見が持てるわけではないのです。

反対に、状況を整理するだけの前提知識がなくても、自分の意見を言える人がいます。むしろ、ほとんどのケースでは、そのテーマの全体像をつかんでいません。そしてモレなくダブリなく分析することなんてできません。

「ダブリなく」考えることはできるかもしれませんね。でも、「モレなく」は無理です。たとえば、ゴルフをやったことがない人が、ゴルフの反則をモレなく考えることはできません。モレなく考えられている時点で、相当の前提知識を持っているわけです。

前提知識がない人に「モレなく考えろ!」というのは無理がありますね。

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