【有料会員限定記事】起業家として成功するには~柔軟なスケジュールと笑える時間が大切(文/リチャード・ブランソン)

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ストレスを制御する仕事と生活のバランスのとり方

【質問】 日々の生活で、ブランソンさんはストレスをどう解消していますか?
また新進の起業家に個人的にたったひとつだけアドバイスするとすれば、それは何でしょうか。

わたしは今、ヘルス&フィットネスの静養所をコスタリカに作りはじめたところです。何か役立つアドバイスをいただければとてもありがたいです。(タミー・ナデン)

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――ブランソン: 50年以上まえに最初の事業を起ち上げて以来、ストレスが溜まる状況に直面した回数は数え切れません。ヴァージン創立後の数年は、会社を閉鎖せざるを得ないような脅威を何度も味わいましたし、それ以降も難局が延々と続きました。

ストレスとビジネスは切り離せるものではなく、また、ストレスがかかるとやる気にも火がつきますから、ストレスは悪、とは一概に言い切れないのですが、圧力があまりにも昂進すると、感情や肉体への被害は深刻化します。そこからわたしが学んだことは、ストレスを制御するには、仕事と生活のバランスをうまくとることが大事だということです。

職場での福利の問題は、長い間、世間の注目を集めてきました。ほとんど気分転換ができないスタッフが仕事に没頭できるようにと、雇い主が古くさい企業の習慣に替わる方法を探してきたからです。実際に、最近私たちも、ヴァージンディスラプター主催でこの議題について興味深く活気にあふれたディベートをしています。

ワークライフ・バランスは、人によっては厳格な順序に従うことを意味します。食事、睡眠、運動、そしてその繰り返しです。しかしわたしの場合には、あらかじめ決められた手順はほとんどありません。起業家にとっては柔軟性こそ命です。明日何が起こるかは分かりません。ですから状況に応じて、重要なことから順番に遂行することが極めて重要なのです。あなたのスケジュールをぶち壊してしまうような難局にでくわしたら、それらの重要度を評価し、それに基づいてやるべき事の優先順位を再構成しなければなりません。

起業家であれば誰もが多くの仕事を同時進行させなければなりませんから、注意があちこちに拡散していては生産的ではありません。優先順位をつけて集中を途切れさせないために、わたしはまずやるべき作業のリストを書き出し、会社へのそれぞれの作業のインパクトの度合いを考えて、実行リストを順序立てます。これは誰にとっても有効な方法だと思います。

毎日楽しむ時間を持つことも仕事の一部

仕事の優先順序を確定したら、次はできれば仕事の一部を委嘱することです。単独で事業を興したのならば、自分ひとりで、経営や会計、プロダクトデザインまであらゆる仕事をこなさなければなりません。そのうえ、将来戦略まで考えなければならないとなると、プレッシャーの度合いは半端ではありません。

この段階で大事なのが、楽しむ時間の確保です。自分をリフレッシュしてどのような難局にも備えておくためには、遊ぶ時間を見つけなければいけません。自分が幸せになれる時間は、あなたの積極的な姿勢を保ち、ストレスだらけの挑戦へと向かわせてくれます。
起業した直後は、個人的な時間を見つけたり、会社の将来を考えるなんてとても実行できそうにないと思うものです。しかし忘れてならないことは、ガス欠では走れない、という事実です。

仕事を一生懸命やったご褒美として楽しむ、ということではありません。毎日どこかで笑う時間を持つということはあなた自身の責任であり、仕事の一部なのです。その時間が、たとえ友人との情報交換や初対面の相手との会話、あるいはソーシャルメディアでの冗談のやりとりであっても何ら問題はありません。仕事を中断し、自分の楽しみの予定を手帳に書き込むことに罪意識を感じる必要はないのです。

このリラックスする時間の確保は、できれば午前中の優先事項にしてください。朝起きて真っ先に仕事にとりかかる行為は私には感心できません。私の場合は、運動と家族との時間に充てています。その後の1日のために頭をスッキリさせエネルギーを漲らせるための時間です。

これは新進の起業家へ贈る、私からの個人的なアドバイスの1つにも関連しています。つまり楽しむことが大事だ、ということです。これは過小評価されている事柄ですが、楽しめれば成功する確率もグンと高まります。

どうやっても楽しめなければ――つまり、とてもクリエイティブな楽しさを味わいながら、一方で世の中を革新できないとすれば、それはどうしたら良いでしょうか。私の場合は、その件は何とかパスして、もっと興味が持てる方面にどんどん進むというやり方を取っています。

タミーさん、幸運を祈ります。コスタリカにヘルス&フィットネスクラブを起業するというのは、ワークライフ・バランスも良く、明らかに楽しそうな事業です。一生懸命働くのと同じように一生懸命遊んでください。

まあ、遊ぶ方ばかりに偏ってはなりませんが。

(翻訳・オフィス松村)