熊本・菊池市。元銀行マンが故郷で「改革市長」に転身2年。農業と自然とアイデアで自治体は甦った!

 豊かな農産物をアピール

熊本県菊池市。阿蘇くまもと空港から北へ車で30分ほど、阿蘇の山麓に広がる人口5万人の市である。阿蘇を源とする豊かな水の恩恵を受けて、菊池米や水田ごぼう、メロンなど豊かな農産物を産出する。旭志牛など畜産業も盛んだ。また市の中心部には「美肌の湯」で知られる菊池温泉が湧く。農林畜産業と観光の町だ。

そうした豊かな“資源”を持つ菊池だが、少子高齢化の影響でジワジワと衰退の危機に瀕しているのは、他の地方都市と変わらない。すでに、市民のうち65歳以上の人の割合が30%に達した。

菊池市の江頭実市長

そんな菊池の再生に向けて大胆な改革を進めている市長がいる。

江頭実氏。富士銀行(現みずほ銀行)でロンドン支店長などを務めた国際派の銀行マンだったが、出身地である菊池のあまりの衰退ぶりを見て「Uターン」を決意。何の地盤もないままに2年前、市長選に立候補したのだ。

菊池高校を卒業して町を離れて以来、故郷に住むのは40年ぶりだった。

「菊池には宝の山がある。それに磨きをかけて全国に発信すれば、まだまだ可能性はある」

そう訴えた江頭氏は、政党の支持などは得ず、従来の体制にしがらみがない点を強調した。多くの市民が、何とかして今の閉塞感を打破しなければ、と感じていたのだろう。江頭氏は予想外の大差で市長に選ばれた。

銀行で企画部門を経験してきた江頭氏は、次々に新しいアイデアをぶち上げた。

まず掲げたのが、「癒しの里」というキャッチフレーズ。なかなかモノが売れない時代だが、命や健康、自然といったものへの世の中の要求は強い。

もともと菊池市には無農薬栽培や無肥料栽培といった自然志向の農業を追求している意識の高い農家がいた。こうした流れに拍車をかけるために、農薬や化学肥料の削減状況に応じて農産物を7段階に分ける「菊池基準」を導入した。

最低ランクの「1」は化学農薬を1~3回減らす技術の導入と化学肥料を30%削減する技術の導入。「2」は化学農薬50%減、化学肥料50%減といった具合だ。

さらに、市が主導して農産物の通信販売サイトを開設。https://www.kikuchi-marugoto.jp/default.aspxインターネット上に菊池基準のランクを明示するようにした。まだまだ最低ランクの「1」の農産品も多いが、自然栽培米のコメなどでは最高ランクの「7」が付いているものも販売している。

菊池の安全で豊かな農産物を全国にアピールしていくのが狙いだ。

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