民放も時代劇を復活させる日が来る!? 内藤愼介プロデューサーが語る、時代劇作りの面白さ
NHK『かぶき者 慶次』HPより

民放からは時代劇のレギュラー放送枠が消えたが、NHKは「木曜時代劇」(午後8時)で侍たちのドラマを流し続けている。万一、NHKまで時代劇の制作をやめてしまったら、時代劇は永遠に作れなくなってしまうだろう。

それは殺陣師など時代劇に欠かせないスタッフがいなくなってしまうからだ。時代劇が消え、仕事がなくなってしまったら、後を継ごうとする者もいなくなり、技術の伝承が途絶えてしまう。そうなると、10年後に「時代劇が作りたい」と思う制作者が現れようが、スタッフは集まらない。だからこそ時代劇の灯を守り続けている「木曜時代劇」の存在は貴重だ。

慶次に扮する藤竜也も"かぶき者"

その作品群は粒ぞろい。現在放送中の『かぶき者 慶次』も面白い。戦国きってのかぶき者だった前田慶次の晩年を描く物語だ。かぶき者とは、戦国時代から江戸時代、常識を逸脱した行動を取る者のことを指したが、己を裏切らず、正しいと思ったことをやる者も同じと考えられていた。ぶれない物差しを持っていた慶次は、戦国時代随一のかぶき者とされた。

その慶次に扮しているのは藤竜也(73)。1962年の日活映画『望郷の海』でデビューした大ベテランだが、意外や時代劇へのレギュラー出演は初めて。制作統括の内藤愼介氏は起用の理由をこう語る。

「存在感のある役者さんですし、藤さん自身もかぶいている感じがしますから」

確かにそうだ。藤は当世の流れに逆らうかのようにバラエティー番組等へは一切出演せず、空いた時間はスポーツジムなどで肉体作りに励んでいることで知られる。76年には物議を醸すことが分かっていながら、故・大島渚監督によるハードコアポルノ映画『愛のコリーダ』に出演した。周囲に流されず、役者として正しいと思ったことだけをやっているのだろうから、かぶき者と呼べる。

見栄や外聞もなく、度量の大きいかぶき者

物語の時代設定は1608年。慶次は能登国を納めた前田家の一員で、住まいは金沢にあるのだが、上杉家に仕えて、組下衆として出羽国・米沢にいた。

上杉家の領地はもともと会津だったが、関ヶ原の戦い(1600年)において敗れた石田三成側に付いたため、勝った徳川家康によって米沢に移されていた。石高も120万石から30万石に大減封。極端なまでに冷や飯を食わされていた。

当然、上杉家内には不満が充満。徳川側との再戦を訴える声がくすぶっていた。戦いを求めるのだから、ある種、侍らしい思考なのだろう。だが、慶次の考えは違った。

「慶次は非戦を訴えます。命の大切さを唱えます」(同)

慶次は二度と血を流してはならないと思っていた。戦いを防ぐためならば、自分の命を投げ出す覚悟だった。戦うことが正しいとされた時代に非戦の勇気が持てたのは、慶次に経験と知恵があったからだろう。関ヶ原の戦いで最前線に立っただけに、争いの虚しさと命の尊さを知っていた。