ブルーバックス前書き図書館
2015年05月20日(水)

『理系のための英語最重要「キー動詞」43』
600超の例文で独特の用法を完全マスター!
原田豊太郎=著

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科学英語攻略のバイブル! シリーズ10万部突破!
基本動詞の「理系的」活用法がわかる!

「正確に読む」にも「的確に書く」にも動詞が要。「このデータが証拠となる」はprovideで表現するのが正解。「方法やプロセスの特徴」を述べるにはinvolveを使う。同じ「合う」でも、fitとmatch、accommodateはどう使い分ける? 議論に不可欠なassume、「説明や定義」で活躍するbe動詞から、条件が「有利に働く」favor、分析を「受ける」subjectまで。辞書では見つからない意味・用法がわかり、科学英語の読み書きに必要な英語力が身につく「超実践的」活用辞典。


はじめに

 この本を手に取ったあなたは,「はじめに」がいきなり「設問」で始まっていることに戸惑いを覚えるかもしれない。でも,まずは次の英作文と和訳の問題に挑戦してほしい。

問題1

これらの考古学的データは,過去に織物が製造され,使用されたという直接の証拠となる。

問題2

Today, scientists must address increasingly serious environmental problems.

 問題1のポイントは,「データは証拠となる」を英語でどう表現するかということである。「となる」という述部を見て,be 動詞を思い浮かべた人が多いのではないか。

 この日本語表現に対応する英語表現がすぐに頭に浮かばない場合,和英辞典や活用辞典の「なる」や「証拠」の項を見て,なんとか日本語に対応する英語表現を探すことになるだろう。あるいは,それらの項目に挙げられている単語を頼りに,英和辞典で該当する表現を探そうとするかもしれない。

 しかし,そのようなアプローチで"正解 にたどりつくのは,不可能とはいわないまでも,きわめて至難のことであるに違いない。

 正解は,data provide evidence である(ちなみに,Yahoo! とグーグルの翻訳サイトではそれぞれ,The data become the evidence, Data is evidence となっている)。したがって,問題1の英文は次のようになる。

答1a.

These archaeological data provide direct evidence for past textile manufacture and use.

答1b.

These archaeological data provide direct evidence that textile was manufactured and used in the past.

 日本語の「なる」に対して,「なる」の意味からは想像のつかないprovide が対応する―このような奇妙な事態になるのはなぜだろうか?

 英語では,「もの」や「こと」を示す,いわゆる無生物が主語になって「データが証拠を与える」という表現が成立するのに対し,日本語にはこのような表現が存在せず,「データが証拠となる」あるいは「データから証拠が得られる」という表現になるためである。

 日本語の意味からdata provide evidence の表現にたどりつくのがきわめて難しい理由がここにある。

 問題1に見るような,英語の動詞と日本語の動詞が意味的にまったく対応しないという現象は,無生物が主語になる場合にしばしば生じる。無生物主語の使用が例外的であるのならさして問題にはならないが,理系英語においては,人に比べて無生物が主語になることのほうが多いから,私たち日本人には実に厄介である。

 しかもprovide は,理系英語において多彩な表現が可能な,きわめて重要な「キー動詞」なのである。

 ちなみに,本書では「無生物」という言葉の代わりに,「ものごと」「もの」(たとえば,装置,設備や物質),「こと」(たとえば,状態の変化,機械の作動,検査,測定などの人間の行為)を使うことにする。「生物/無生物」というとらえ方が英語独自の発想からきた概念であるのに対し,私たち日本人は「生物」「もの」「こと」というとらえ方をしており,こちらのほうがわかりやすいからである。

 続いて,問題2を見ていこう。address の正確な意味がつかめただろうか?

 一般英語で覚えた「演説する」「話しかける」という訳語をあてはめても,どうにもしっくりこない。ただし,こちらは英和辞典を丹念に探せば「(問題に)取り組む」という語義が出てくるので,問題1に比べれば難しくないだろう。日本語文は次のようになる。

答2

こんにちでは,科学者はますます深刻化する環境問題に取り組まなければならない。

 本書は,2つの例題を通して見た,① provide のような理系英語においてきわめて重要な動詞で,しかも理系的用法において日本人が苦手とする動詞や,② address のように使用頻度は低くても,初学者にとって,意味をとることさえ難しい動詞を43 取り上げ,それらの使い方について詳しく解説した本である。

 本書ではこれら43 の動詞を,科学論文を書いたり正確に読みこなしたりするための,「最重要キー動詞」と位置づけ,次のような視点から書かれている。

① 各動詞が,特に理系英語のジャンルにおいて「何を表現するために」「どのような場面で」使われるのかを明らかにした。その結果,読者の頭の中で適切な使用場面と英語の動詞の結びつきが強化され,キー動詞を使いこなせるようになる。

② 各動詞の主語にはどのような名詞がくるか,また,他動詞の場合,目的語にはどのような名詞がくるのかを,具体的に,また類型化できる場合には類型化して説明した。専門的にはcollocation(連語関係)と呼ばれるもので,それを知ることで,各キー動詞と相性のよい単語を同時に身につけることができる。

 各項目の冒頭では,動詞の起源,ついで理系英語における主要な意味と動詞の型を紹介している。動詞によっては項目の末尾で,一般英語についても簡単にふれている。多忙な読者には,冒頭部を読み飛ばしても理解できるよう配慮してある。

 各項目の本文は,冒頭で取り上げた動詞としての意味の順に,例文を用いてその動詞の使用場面が理解できるように構成した。例文は工業分野からのものが多いが,物理,化学,生化学のジャンルからも採用している。

 本書の執筆に際しては,多くの辞書や参考書を参考にした。これらの本については巻末に掲げている。

 本書は,企画当初の段階から,前著『理系のための英語論文執筆ガイド』の編集を担当したブルーバックス出版部の倉田卓史さんと多くの議論を重ねることでできあがったものである。一次原稿の段階で丹念に目を通して多くの不備な箇所を指摘していただき,また数多くの貴重な意見をいただいた。それらは最終原稿に採り入れられ,より使いやすく,わかりやすい本になったと考えている。文責が著者にあるのはいうまでもないが。

 実際に使用されている,いわば生きた英語の意味・用法について不明の箇所が数ヵ所あり,中学校で英語の教師をしている長女の真理をわずらわせた。また,真理を通して, 外国人指導助手のEmily Chu さんとGregory Kohlburn さんにご教示いただいた。講談社校閲部のみなさんには,丹念な校正に基づいた数多くの有益なご指摘を頂戴した。

 あわせて謝意を表します。

25年以上かけて収集した活きた実例に学ぶ「原田式」科学英語攻略法。下記の既刊3冊でさらに英語力をパワーアップしてください。

『理系のための英語「キー構文」46』英語論文執筆の近道

『理系のための英語論文執筆ガイド』ネイティブとの発想のズレはどこか?
『間違いだらけの英語科学論文』失敗例から学ぶ正しい英語表現

著者 原田豊太郎(はらだ・とよたろう) 
一九四一年、台北市生まれ。東京大学工学部卒業。大手繊維メーカーで数年間研究に携わったのち、理工系出版社で技術雑誌や工学書の編集を担当。八四年に独立し、工業材料関係の英文ニューズレター等を発行。以来、科学技術英語関係の仕事に携わる。主な著書に『理系のための英語論文執筆ガイド』『間違いだらけの英語科学論文』『理系のための英語「キー構文」46』(すべて講談社ブルーバックス)、『例文詳解 技術英語の冠詞活用入門』『例文詳解 技術英語の動詞活用辞典』(ともに日刊工業新聞社)などがある。
『 理系のための英語最重要「キー動詞」43 』
600超の例文で独特の用法を完全マスター!

原田豊太郎=著

発行年月日: 2015/05/20
ページ数: 384
シリーズ通巻番号: B1915

定価:本体  1200円(税別)
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(前書きおよび著者情報は初版刊行時点のものです)

 


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