『論理が伝わる世界標準の「議論の技術」』
Win-Winへと導く5つの技法
倉島保美=著

メニューページはこちら

勝ち負けじゃないんだ!
Win-Winでベストな成果を導き出す「真の議論術」とは?

 日本人は議論が下手、は本当なのか? いいえ、正しい議論のしかたを知らないだけです。議論は勝つか負けるかではありません。Win-Winの成果を導き出す論理的で生産的な話し合いです。思わず「なるほど」と膝を打つ実例で、議論上手になるテクニックを学んでいきます。


はじめに

▼世界標準の議論とは

 グローバル競争のビジネスの世界では、論理的に議論することが求められます。論理的な議論を通して、当事者全員の知恵を寄せ集めたソリューション、つまり全員が納得するWin-Winのソリューションを見出すのです。議論し尽くされていない未熟なソリューションを、駆け引きや根回しで押し通してはいけません。また、当事者の一部だけが納得するWin-Loseのソリューションを押しつけるのもよくありません。駆け引きや根回し、Win-Loseのソリューションでは、結局はビジネスでの成果を得られないからです。

▼日本人は議論が下手なのか

 日本人は議論が下手と言われますが、単に「議論の技術」を知らないだけです。下手なのではなく、知らないだけなのです。「議論の技術」を知りさえすれば、わずかな時間で議論上手になれます。その技術も、ごく簡単で、すぐに使えるようなものも多くあります。たとえば、これまで相手に反論されるとすぐに四苦八苦していた人も、ある魔法の言葉を用いるだけで議論上手になれます(「コラム|議論が本当に得意な人」参照)。

「議論の技術」を知っていれば、Win-Winの成果を生み出す、論理的な議論ができるようになります。議論とは、Win-Winのソリューションを導くための、生産的な話し合いです。論理的に議論し合うことで、双方が満足するソリューションを、協力して考え出すのです。相手に議論で勝とうと思っているようでは、ビジネスは成功しません。まして、議論上手とはとても言えません。

▼論理的な議論とは

 議論が論理的であるとは、全体の筋が通っていて、かつ、その筋を作っている各ポイントに納得感のある状態です。

 全体の筋が通っているとは、筋を作っている各ポイントが正しく接続されているということです。このポイントは、縦につながるか、横に並ぶか、あるいは他のポイントを包含するかの、いずれかの関係でなければなりません。正しく接続されると、各ポイントはブロック図のようにつながります。全体の筋が通っているとは、ブロック図のような状態を作ることです。

 筋を作っている各ポイントに納得感があるとは、その各ポイントが十分に裏付けられているということです。各ポイントは、理由やデータによって裏付けられていなければなりません。正しく裏付けられると、各ポイントに納得感が生まれます。筋を作っている各ポイントに納得感があるとは、各ポイントに十分な理由やデータがあることです。

▼本書のターゲット

 今説明した論理的であることのうち、話全体の筋を通すことを「ロジック構築」、各ポイントに納得感を持たせることを「ロジック論証」と言います。

 ロジックを構築する技法を学ぶことにより、議論の論理性を改善できます。議論において、このロジック構築が求められるのは、議論のスタートとなる原案です。原案は、論理的な議論を通じて、最適なソリューションへとブラッシュアップされます。この最初の原案で、ロジック構成要素が正しく接続されていれば、議論の収束が容易です。逆に、この接続がいい加減だと、深めるべき論点が多くありすぎるために議論が発散しがちです。そこで、議論を効果的に深めるために、ロジック構成要素を正しく接続する技術が重要です。

 また、ロジックを論証する技法を学ぶことにより、議論の説得力を改善できます。議論において、このロジック構築が求められるのは、議論のスタートとなる原案の提示と、その原案の提示に続けて応酬される反論です。ロジック構成要素に、どんな根拠をつければ相手を説得できるのかを検討したり、相手の述べている根拠で十分かを検証したりすることで議論が深まります。議論を深め、原案を最適なソリューションへとブラッシュアップするために、論証する、あるいは検証する技術が重要です。

 さらに、構築したロジックを表現する技法を学ぶことにより、議論の伝達性を改善できます。議論では、口頭での説明が原則です。議論中に、発言ごとに資料を配付するわけにはいきません。プレゼンテーションのようにスライドを見せることもできません。目に見える資料を使わずに言葉だけで説明すると、どうしても分かりにくくなります。したがって、口頭だけの説明でも、伝えたいことがしっかり伝えられる技術が重要なのです。

 なお、ロジック構築とロジック論証、その表現については、「論理が伝わる世界標準の技術」シリーズの前2 作でも取り上げています。本書『論理が伝わる世界標準の「議論の技術」』では、ロジック論証を中心に身につけていきます。ロジック構築をさらに深く勉強したければ、『論理が伝わる世界標準の「プレゼン術」』を参考にしてください。また、表現を深く勉強したければ、『論理が伝わる世界標準の「書く技術」』を参考にしてください。シリーズの3 冊によって、ロジック構築とロジック論証、その表現のすべてを、深く学ぶことができます。

著者 倉島保美(くらしま・やすみ) 
一九六一年生まれ。東京大学工学部卒業。NECにて、一八年間LSIの設計に従事するかたわら、ライティングやプレゼンテーションの指導を始める。二〇〇五年に有限会社ロジカルスキル研究所を設立。現在、企業研修として、日本語および英語のライティングや論理的思考法、ディベート、プレゼンテーションなどを指導している。『論理が伝わる 世界標準の「書く技術」』『論理が伝わる 世界標準の「プレゼン術」』(講談社ブルーバックス)、『書く技術・伝える技術』(あさ出版)など著書多数。
『 論理が伝わる世界標準の「議論の技術」 』
Win-Winへと導く5つの技法

倉島保美=著

発行年月日: 2015/05/20
ページ数: 256
シリーズ通巻番号: B1914

定価:本体  900円(税別)
     ⇒本を購入する(Amazon)
     ⇒本を購入する(楽天)

 
(前書きおよび著者情報は初版刊行時点のものです)