賢者の知恵
2015年05月16日(土)

大阪都構想は、マジで洒落にならん話(3) ~この戦いは日本を守る戦いでもある 編~
文/京都大学大学院教授 藤井聡

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ふじい・さとし 京都大学大学院教授、同大学レジリエンス研究ユニット長。1968年生。京都大学卒業後、イエテボリ大学心理学科客員研究員、同大学助教授等を経て現職。専門は公共政策論、国土・都市計画論.著書は「大阪都構想が日本を破壊する」「凡庸という悪魔~21世紀の全体主義」等多数。
あべのハルカスや通天閣を望む Thinkstockphotos/Getty Images

都構想が導く、「地獄」のような大阪の未来

大阪都構想は、なぜ「マジで洒落にならん話」なのか、今日はその最終回だ。ついては今回は、これまでの2回とは比べものにならないくらいに最悪の「洒落にならん」話を、最後にしようと思う。

筆者の藤井聡教授

ただしその前に、ここまでの2回にわたる議論を、簡単に振り返っておこう。

大阪都構想は、大阪市民の暮らしの水準を徹底的に劣化させる。福祉も教育も医療も生活環境も皆、水準が低下する。なぜなら、大阪市をつぶし、新しく小さな自治体を5つ作り直す、それが大阪都構想だからだ。

これは、一軒家、5人家族で住んでいたところ、これからバラバラに小さな家をたてて、5人バラバラで暮らしていこうとするようなもの。だから当然、初期コストもランニングコストも割高になる。にも関わらず税収は一緒。というより、むしろ府に吸い上げられる分、縮小される。そうなれば当然、一人一人の生活水準は低下せざるを得なくなる。

もうこれだけで「洒落にならん」と言えるわけだが、大阪市民の不幸はそれだけに止まらない。大阪市がつぶれてしまうことで、大阪市が持っていたノウハウや組織力も大幅に既存し、結果、大阪は「防災力」を低迷させ、「まちづくり力」もまた大きく毀損してしまう。

東京がオリンピックで盛り上がり、名古屋がリニアの開通に向けて着実に歩を進めている間、一人大阪だけは、府と市の行政の仕組みの改変と調整に明け暮れておかねばならず、前向きなプロジェクトが思い通りにできなくなってしまう。

結果、三大都市圏の中で大阪は今よりもさらに過激に「沈下」していく。そして、100年以上の大阪市政の力でつくりあげてきたミナミやキタといった都心部も徐々に衰え、大阪全体がダメになっていく――そんな中、挙げ句の果てに南海トラフ地震の直撃を受けたとき、「都構想」によって弱体化させられた貧弱な防災力しか持ち合わせていない大阪は、もう二度と立ち直れない程の深刻な大打撃を受け、かつて「大大阪」とまで言われた栄光の影は、見る影もなく寂れ果てた荒れ果てた街へと――すなわちさながら「荒城の月」の唄の世界へと――凋落してしまう。

これが、筆者を含めた多くの学者達が提示する様々な学術的根拠を重ね合わせることで想定される、都構想によってもたらされる最悪の「大阪の未来の姿」だ。それはさながら地獄絵の世界だ。

ところが都構想さえやっていなければ、こうした地獄の様な最悪の未来は簡単に回避できる。都構想さえ無ければ、市民生活の「凋落」は避けられ、まちづくり力・防災力の「凋落」も避けられ、それを通して、地獄絵のような未来の到来をいとも容易く回避できるのである。

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