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悲観論が根強いが「株価2万円」の攻防6月に一気に動く
金融政策は「効果を上げている」と会見したその日に、株価が暴落した〔PHOTO〕gettyimages

一日で数百円の株価暴落が当たり前になってきた。「1ヵ月ごとに1000円」の猛烈なペースで上げてきた道を、そのまま急速に引き返すようである。ただ、この株式劇場はまだ始まったばかりで—。

国家vs.ヘッジファンドの闘い

「あの日は日本銀行も相当に焦っていた。一気に365億円も株式市場にぶち込んで、下げ止まらない株価をどうにか買い支えようと必死になっていたのですから」

ある外資系ファンドマネジャーは、日経平均株価がたった一日で500円以上も暴落した「4・30ショック」の舞台裏をこう語り出した。

「正直、なにが起きているのかわかりませんでした。市場では『米国の1-3月期GDP値が予想を下回ったことによるショック売りだ』との観測が駆け巡ったが、この時の米国株価(ダウ平均)はわずか70ドルほどしか下がっていない。ではなぜ、日本株だけがこれほど暴落するのかと、市場はますます混乱していったのです。

翌5月1日も疑心暗鬼が渦巻く中で、日銀はふたたび動かざるをえないところへ追い込まれた。これ以上の株価下落はなんとしてでも避けなければいけないと、前日同様に365億円の巨額マネーを投じて、日本株を買いまくっていました」

日本株が「株価2万円」の大台を突破したのは、4月10日のことである。

その勢いのままに次は2万1000円、2万2000円と威勢の良い声が上がっていた中で、そうした楽観に冷や水を浴びせかけるようにこの暴落劇は起きた。

「実は5月1日の株式市場は、下手をすれば'13年5月のような1000円以上の大暴落になっていた可能性がありました」

海外の投資家事情に詳しい株式評論家の渡辺久芳氏が言う。

「4月30日の株価急落の起点はドイツです。ドイツ国債が急激に売られる予想外の事態が発生し、これに驚いた投資家たちが世界的に株を手放す動きを加速させ、それが日本に伝播した。さらに、その流れを利用して、日本株の売り仕掛けで儲けようとしていたヘッジファンド勢が出てきた。5月1日にもそうした海外ファンドの仕掛けは出ていたため、大暴落の危険性がありました。

しかし、この日はファンドを向こうに回して、ゆうちょマネーなどの日本の公的資金が対抗して買い支えに動き出した。日経平均株価への影響度の大きいファナック、ファーストリテイリングなどの株を買うことで、株価を持ちこたえさせたと見られます」

日銀、ゆうちょなどの巨大プレイヤーたちが総出で「戦場」の最前線に立つ。それは'90年代前半、ヘッジファンドとイギリス政府が壮絶な買いと売りのバトルを繰り広げたポンド危機さながらであるから、恐ろしい。

日本では株式市場が閉じていたゴールデンウィークの連休中も、米国シカゴの日経平均先物市場では、一日に300~400円も上下する眩暈のするような異常事態が続いた。連休明けの東京株式市場も大荒れで、売りに売られて株価は1万9200円台まで落ちた。

「この乱高下相場はしばらく続く」と、BNPパリバ証券投資調査本部長の中空麻奈氏は言う。

「日本株の2万円という水準に対して、『これはバブルではないか』『すぐ下がるのでは』と不安視する投資家が多くいます。そうした投資家は、いつでもすぐに撤退できるような態勢で構えている。逆に言えば、株価2万円時代というのは、投資家が急落に備えてリスク要因を探し回っている状態ともいえます。

だから、ひとつのリスクをトリガー(引き金)にして一気に株価が急落し、一方でそれを公的マネーが買い支える。そんな攻防はこれから何度も起こりうるのです」

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