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スクープレポートもう我慢できない 北朝鮮で反乱「金正恩を国外追放せよ!」焦る暴君はロシア訪問をドタキャン

本誌編集次長 近藤大介

晴れの「外交デビュー」をドタキャン。唯一の味方だったロシアをも呆れさせた金正恩第一書記。平壌でも、面従腹背の幹部たちが、いつ暴発してもおかしくない不穏な状況になってきた—。

外遊している場合じゃない

「先日、あるスポーツ大会を見学に行ったら、すぐ近くに金正恩が、お忍びで来ていた。とてもイラついた様子で、常にタバコを咥えて、周囲に怒鳴り散らしていた。周囲は、まるで腫れ物に触るように接していた。

だが、よく観察すると、金正恩はとても哀しそうな眼をしていた。その様子は、私が前世紀末に見てきた崩壊直前の東欧諸国の独裁者を髣髴させるものだった」

こう証言するのは、北朝鮮のある友好国の駐北朝鮮大使だ。

5月9日にプーチン大統領が主催した対独戦勝利70周年記念軍事パレードに参加予定だった金正恩第一書記が、ドタキャンした。ロシア・セゴドゥニア通信社のコツバ・セルギイ日本副支局長が解説する。

「4月末に北朝鮮側から突然、『国内事情によって訪問を中止する』と通告してきたのです。

金正恩は父親の金正日と同様、シベリア鉄道に乗ってモスクワへ行く予定でした。そうなると往復だけで2週間、滞在を含めると3週間くらい要する。そんな長期間、国を空けたら、クーデターが勃発する—北朝鮮が言う『国内事情』とは、そういう意味だったのかもしれません」

金正恩は第一書記に就任して、この4月で3年を迎えたが、これまで一度も外国を訪問していない。孤立感を深める金正恩第一書記は、やはり国際的に孤立するプーチン大統領率いるロシアに急接近。今年5月の式典に出席すると、ロシア側に伝えていたのだった。ロシア外務省関係者が語る。

「北朝鮮側は、ロシア製の地対空ミサイル『S-300』を4基、代金は物々交換で購入したい、それを第一書記訪ロの〝目玉〟にしたいと希望していた。われわれは、ドル払いにすることと、中国の了解を事前に取ることを条件に承諾した」

結局、金正恩は平壌に留まり、87歳と高齢の金永南最高人民会議常任委員長をモスクワに送ったのだった。韓国国家情報院関係者が証言する。

「謀反を警戒する金正恩は、側近たちを次々に〝電撃処刑〟する恐怖政治を貫いています。処刑された幹部は、'12年が17人、'13年が10人、'14年は41人にも上った。

今年も4月までで、早くも15人の幹部を処刑しています。特に、'13年末にナンバー2の張成沢党行政部長を処刑してから、恐怖政治を徹底させるようになった。

こうした恐怖政治は一見すると、側近たちに緊張感を生んで求心力を増すかに思えますが、実際には、周囲がいつ暴発してもおかしくない状況を生んでいるのです」

典型的だったのが、昨年11月に粛清された馬園春国防委員会設計局長のケースという。

「馬園春は、金正恩が直接指導した元山郊外の馬息嶺スキー場や、平壌の紋繡遊泳場などの設計者でした。これらの功労として、朝鮮労働党副部長及び朝鮮人民軍中将に抜擢され、金正恩に最も寵愛を受ける側近として知られていたのです。

その馬園春が新たに設計した、順安空港(平壌国際空港)の新庁舎を視察した金正恩は、

『なぜ中国の真似事のような内装の空港を作ったのだ!』

と激昂。この一言で馬園春は引っ捕らえられ粛清されたのです」(同前)

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