「カウンターの中に入ると、みんな自分自身を演出します」---鮨青木 青木利勝氏に訊く、銀座の接客
渡辺新『銀座・資本論』より

第3章 手仕事の江戸前寿司と銀座

鮨青木 青木利勝
あおき・としかつ / 大学を卒業し、1年間アメリカへ。世界の最先端の寿司を体験する。アメリカより帰国後、京橋「与志乃」で修業をする。その後、銀座にて先代の下で修業を積み、現在に至る。父は名店「なか田」で修業した青木義。母は豊子(写真左)。

【第2章】はこちらをご覧ください。

世界最先端の寿司へ

渡辺 青木さんは毎年ニューヨークやシンガポールに行かれて、世界の最先端のお寿司を体験されていますが、ご自身のお寿司に反映されますか。

青木利勝(以下、利勝) お客様は江戸前を求めてお店にいらっしゃいますが、その中でアボカドと穴子を巻いたり、少し工夫した創作寿司を作ったりします。

しかしそうは言ってもお客様のお目当ては江戸前ですので、その割合が多過ぎるとこういうものではなかったとなってしまいますので、お店のカラーってありますね。

渡辺 代々続いている?

利勝 そうです。お寿司はもう完全に出来上がってしまったものですから、それを崩すというのはすごく難しいです。

渡辺 いつ頃からニューヨークに見に行き始めたんですか。

利勝 学校を卒業して約1年間アメリカを旅していまして、その後、日本に戻り修業が終わって昭和63(1988)年ぐらいからです。

渡辺 その時はまだ、親父さんはお元気だったのですね。

利勝 父とは4年ほど一緒にやっていました。

渡辺 以前、寿司幸の杉山(衛)さん(第9章)に「お寿司にもいろいろなお寿司があって、回転寿司もあれば高級店もありますが、回転寿司で働いていた人が高級店に入っても仕事ができるんですか」と聞いたら「いや、無理だ」と言うんです。

「どうしてですか」と返すと「回転寿司はセントラルキッチンで、現場で仕込みをしないから、我々のお店に入ってもゼロからになってしまうから無理で、そしてその逆も無理です」と言われたのですが、やはりそういうものなのですか。

利勝 握るだけの作業はやっていれば結構できますが、寿司屋って、仕入れ、仕込み、営業、その3つを絶対にやらないといけないと思うのです。
 

銀座・資本論』
著者= 渡辺 新
講談社+α新書 / 定価907円(税込み)

◎内容紹介◎

マルクスもピケティも銀座の商いを知らない。「ていねいでこまめで濃い商い」こそ、これからの時代を生き抜く武器になる!
いま「銀座」にグローバルの風が吹き荒れている。外国人観光客であふれる日本一有名な商いの街「銀座」の商人たちは、過去から何を学び、現在をどう解釈し、未来に何を企てるのか。老舗テーラー、壹番館洋服店の主人・渡辺新は、銀座の商人たち10人と語り合い、銀座ならではの、ていねいでこまめな商いのかたちを日々模索する。21世紀の幸福な商いとは?

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