大阪都構想は、マジで洒落にならん話(1) ~賛成する学者なんて誰もいない編~
文/京都大学大学院教授 藤井聡

ふじい・さとし 京都大学大学院教授、同大学レジリエンス研究ユニット長。1968年生。京都大学卒業後、イエテボリ大学心理学科客員研究員、同大学助教授等を経て現職。専門は公共政策論、国土・都市計画論.著書は「大阪都構想が日本を破壊する」「凡庸という悪魔~21世紀の全体主義」等多数。
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「一発逆転!」への淡い期待が、都構想を支えている

大阪は「おもろい事」を大切にする街だ。それは極めて味わい深い深遠なる文化だ。どんなつらいことがあっても、悪い奴がいても、そこに笑いがあれば「救い」がある。未来への希望が開ける。だから大阪の笑いの文化は、だれにもまねのできない誇り高き貴重な日本の資産だ。

だからあらゆる所で「おもろい事」が重視されてきた。東京もんからは「お笑い百万票」などと揶揄されても、知事や市長も「おもろさ」を重視しながら選んできた。ノック知事にはじまり橋下市長に至る系譜は、まさにその流れだ。そして今回の「大阪都構想」もまた確実にその流れをくむものだ。「都構想、なんや分からんけど、おもろいやんけ」という次第だ。

しかし今回ばかりは「おもろいやんけ」では済まされない。なぜなら、都構想が実現すれば大阪の疲弊は決定的になり、「とどめ」が刺されてしまうからだ。

つまり、大阪都構想だけは「マジで、洒落にならん」話なのだ。

とはいえ、それがどれだけ「洒落にならん話」なのかを冷静に認識している大阪人は限られている。過去の世論調査が繰り返し示唆しているように、多くの大阪市民にしてみれば「都構想」など「得体のしれないもの」に過ぎないのだ。

にも拘わらず今のところ、反対の声に伍するほどの賛成の声があるのが実態だ。

何とも不思議な話ともいえるが、それには理由がある。それは、大阪には今、「ここ最近疲弊し続けている大阪をよみがえらせるには、何か一発、思い切ったことが必要だ」という気分が蔓延しているからなのだ。

そして、その気分に応えるように、「おもろい市長・橋下さん」から提案されたものが今回の「都構想」だというわけだ。

しかし繰り返すが、そして『現代ビジネス』でも繰り返し論じてきた様に都構想で大阪が豊かになるということは万に一つもない。むしろ大阪は決定的にダメになる。だから、今回だけは、文字通りの「洒落にならん話」なのだ。http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42509

本稿ではその理由を改めて行政学、財政学、政治学、経済学、社会学、都市計画、防災学といった実に様々な分野の106名の学者の言説(こちらhttp://satoshi-fujii.com/scholarviews/をご参照いただきたい)を引用しながら改めて解説するものだ。

ただしその前に、どうしても一つだけ指摘しておきたいことがある。

それは、「なぜ」、賛成する学者が、存在しているのか、という点である。