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世界最大のヘッジファンドがIBM「ワトソン」の開発責任者を採用---その真意とは?
IBM時代のデビッド・フェルーチ氏 〔PHOTO〕gettyimages

世界最大のヘッジファンド「ブリッジウォーター」がAI(人工知能)を使った投資システムの開発チームを今年3月に新設。そのリーダーに、かつてIBMのAIコンピュータ「ワトソン」の開発チームを率いたデビッド・フェルーチ氏が就任したという。

"Bridgewater Is Said to Start Artificial-Intelligence Team"BloombergBusiness, February 27, 2015

運用資産総額が約1,700億ドル(20兆円余り)に上るブリッジウォーターは、断トツで世界最大のヘッジファンドとして知られる。上記ブルームバーグの記事によれば、同ヘッジファンドはフェルーチ氏を中心に6人前後のクォンツからなる新チームを結成。彼らはAIの一種である機械学習の技術を使って、互いに関連する銘柄や相場全体の変動パターンを正確に予想し、よりハイリターンの投資を可能にするという。

同じ記事によれば、ブリッジウォーター以外にも「Two Sigma」や「ルネッサンス・テクノロジーズ」など大手ヘッジファンドが次々と、機械学習を中心にした自動取引(Systematic Trading)に多くの技術者やプログラマーなど人的資源をシフトさせている。そして従来のファンドマネージャー(つまり人間)が運用するファンドに勝るハイリターンを達成しているという。

真の意図を誤解している!?

ところが興味深いことに、この記事が掲載された直後、ブリッジウォーターの関係者が米Business Insiderにコメントを発表し、その中で「ブルームバーグの記事は誤解を招くものだ」と抗議した。

"No, Bridgewater didn't just build a team of robotic traders — they've had robot traders for 32 years" BUSINESS INSIDER, MAR. 12, 2015

それによれば、「(機械学習のような)データ・マイニング的手法に基づく自動取引を我々(ブリッジウォーター)は昔から手掛けており、投資業界全体を見渡しても、それほど新しくも珍しくもない。我々が(フェルーチ氏をリーダーとする)新チームを立ち上げたのは、むしろ(人間のトレーダーならではの)よく検討された論理に基づく取引手法を重視したためだ」という。

これだけだと、この関係者が一体何を言いたいのか、よく分からない。つまりブリッジウォーターが、人間の論理的な判断力を重視するなら、何故そもそも「ワトソン」のようなAIコンピュータを開発したフェルーチ氏を雇い入れたのか? その理由が伝わって来ないからだ。

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