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「認知症1000万人時代」に備えよ!最後まで自分の足で歩く10の鉄則(下)
結局、これができるかどうかが分かれ目です

痩せすぎはよくない

食事については、これまでの「常識」と反対のことがわかってきた。まず、高齢になったら「粗食はNG」。歳をとったら消費カロリーが減るので、昔ながらの粗食がいいと思われがちだが、そうではない。取材したお年寄りたちには、〈6〉肉をよく食べる人が多かった。

「筋 肉量を維持するためには、たんぱく質を継続的に摂取しなければいけません。また、体を支えている骨は、半分がカルシウム、半分がたんぱく質でできていま す。メタボを気にして肉は控えるという方が多いですが、高齢の方が粗食をすると、筋肉や骨を作るたんぱく質が不足してしまうのです」(前出・大江医師)

では、実際にはどれほどの量を摂らなければならないのか。厚労省が提示しているたんぱく質の食事摂取基準の推奨量('15年)は、20代でも70代でも変わらず、男性で一日60g、女性は50gが必要とされている。

「た とえば赤身の牛肉の場合、たんぱく質の含有量は20%程度なので、60gのたんぱく質を摂ろうと思ったら、300gのステーキを食べる必要があります。こ れほどの肉を食べるのは難しいですが、たとえば豆腐は一丁20gほど。魚のたんぱく質含有量は15%程度なので、組み合わせて摂取するようにしましょう」 (大江医師)

前出の黒川さんは、60歳で奥さんに先立たれてからずっと一人暮らしをしているというが、毎日自炊をしており、「手の込んだ料理はしませんが、魚と肉を毎日交互に食べています」と話す。

また、あまりに太っていたら腰や膝に負担がかかってしまうが、自分の足で歩き続けるためには、高齢になったら少し太めくらいがいい。とくに、〈7〉60代以降は、痩せすぎないことが重要だ。

「肥 満度を示すBMI(体重〈kg〉÷身長〈m〉÷身長〈m〉)の値が19未満の人は、骨粗鬆症になりやすいことがわかっています。そうなると、骨折して自分 の足で歩けなくなります。太りすぎはいけませんが、BMI25以下であれば、体重を減らさないほうがいいでしょう」(前出・大江医師)

食品では肉のほかに、牛乳やヨーグルトなどの〈8〉乳製品を積極的に摂ることもいい。前出の伊東さんは、毎朝フルーツに牛乳をかけて食べており、松原さんはヨーグルトを欠かさないという。前出の白澤医師が言う。

「私 が以前所属していた東京都老人総合研究所の調査では、乳製品を習慣的に摂る人は、摂らない人に比べて寝たきりなどの介護状態になりにくいという結果が出て います。良質のたんぱく質や骨を作るカルシウムなどを多く含み、最後まで自分の足で歩くためにはパーフェクトな栄養食品です」