「カープ黄金時代」を知る二人のエースが語らう大野豊×北別府学「黒田とマエケン、これが広島愛だ」

最後の美酒に酔った24年前、赤ヘル軍団は、病床に伏す仲間への思いを胸に戦い抜いた。当時のエースと守護神が、開幕から苦しむカープの逆転優勝を願い、厳しくも愛情のあるエールを送る。

マエケンに勝たせたい

大野 僕らが'91年に優勝した後、カープはBクラスが多かったけど、去年まで2年連続で3位になり、今年は黒田(博樹)が帰ってきた。先発陣はエースのマエケン(前田健太)に加え、2年目の大瀬良(大地)も成長し、優勝のチャンスがある年なのに、苦しいスタートになったね。

北別府 僕も「今年は優勝してもおかしくない」と期待をこめて順位予想でカープを1位にしましたが、まあ打てない。昨季の本塁打王・主砲エルドレッドが負傷で離脱し、軸が不在の打線の弱さが出ている。

大野 昨季はエルドレッドへのつなぎ役として貢献した2番・菊池(涼介)と3番・丸(佳浩)が、よくない。特に、丸はかかとに体重が乗って、腰が引けてしまっていて、打率は・205(4月23日時点・数字は以下同)。チームが勝つには、まず投手陣が頑張るのが前提だろうけど、打線が点をとってくれて、はじめてベンチやファンが盛り上がる。

北別府 僕らの現役時代も決して「打高投低」ではなかった。でも要所で、打線が得点を重ねてくれて、抑えには大野さんがいた。「1点あれば最後まで守れる」という雰囲気があった。今年は1点差で8、9回を迎えるのは、不安がある。

大野 今季は延長戦に入った6試合すべてで、負けている。打線が追加点をとれずに援護しきれないから、リリーフ陣が余裕がない精神状態でマウンドにあがり、打たれて負ける。

北別府 先発陣はよく頑張っていますよ。黒田、マエケン、新外国人のジョンソンは試合を作っているし、防御率も1点台か2点台。でもマエケンは22日の巨人戦でも7回1失点の好投をしながら、0-1で敗れた。打線の援護をもらえず、まだ1勝どまりです。

 その試合で代打を告げられた8回、マエケンはヘルメットをかぶったまま、ベンチから応援していた。そういう姿を見ると、勝たせてあげたいね。

大野 私が3年間、投手コーチとして直接指導したマエケンは11勝9敗に終わった昨季に比べたら、本来の調子に戻ってきている。体の柔軟性を生かしたきれいな腕のしなりが、精密機械のような制球力を生んでいる。実は昨年の後半は、視察にきたメジャーのスカウトを意識したのか、スピードを求めすぎて力み、コントロールミスが目立っていた。

北別府 今季も走者を背負った時に、力まかせの強引な投球になる傾向があります。そこには「点をとってもらえない」という心理が働いている。打線が好調で、いつでも点が入る安心感があれば、体の余計な力が抜けるけど、今の打線の状態では「相手に1点もやれない」という気持ちになるのも仕方がない。