中国
突貫工事のAIIB---「ガバナンスと透明性が確保されていない」からこそ、日本が参加すべきでは?
北京市西城区に広がる金融街 〔PHOTO〕gettyimages

北京の金融街には閑古鳥が鳴いていた

GWに北京を訪問した。年末までに中国が中心となって設立されるAIIB(アジアインフラ投資銀行)の取材のためである。

まるで冬と夏しかないような北京の大陸型気候にあって、いまの時節はもう、真夏の気候である。日中の気温はすでに31度。それに、北京っ子たちが皮肉を込めて「沙絮霾定食」と呼ぶ、霧霾(PM2.5)、沙尘暴(黄砂)、柳絮(柳の綿ボコリ)にまみれた空気でゲホゲホだ。

というわけで、あまり愉快な気分になれないまま、北京市西城区に広がる金融街(北京のウォール街)を歩いた。

私は2012年まで北京に暮らしていたが、当時の北京では、市内でここでしか見られないような「白領族」(ネクタイを締めたエリートサラリーマン)たちが、金融街の摩天楼を闊歩していたものだ。

ところがいまや、街が閑散としている。3年前までは常に待たされたウェスティンホテルの喫茶店も、金融街広場に面したスタバも、閑古鳥が鳴いていた。こうした風景を目にするだけで、中国経済の悪化を感じ取れる。例外は株式市場で、2007年以来、8年ぶりの好況に沸いていた。

金融街の南の端が、中国人民銀行(中国の中央銀行)なら、北の端は、太平橋大街の西側に位置する全国政協礼堂である。貨幣の形を模した半弧形の中国人民銀行ビルから、金融大街の目抜き通りを北上すること1時間近く、ようやく全国政協礼堂の威容が目に入ってきた。

全国政協礼堂 〔PHOTO〕gettyimages

政協とは、中国人民政治協商会議の略である。この組織は、中国政府に対する唯一の諮問機関で、毎年3月上旬に全国から2237人の代表委員が北京に集まる。政協の委員は各職業団体の代表者たちで、それぞれの立場から、政府に建議するのである。日本で言えば、「法律を作らない参議院」のようなものだ。

政協には、権限はないが権威はある。それは、新中国建国の10日前の1949年9月21日に、政協の第一回全国会議が開かれ、参加した662人の代表が、新中国建国を決めたからだ。この時、現在の中国の国旗、国歌なども決めた。

そうした経緯があるため、現在でも「政協委員」と言えば、中国では尊敬の対象なのである。現在の主席は、「習近平の兄貴分」こと兪正声党中央政治局常務委員(共産党序列4位)が務めている。

1954年に、周恩来首相が、建国5周年を記念する政協の建造物を造るよう指示し、2年後の1956年に、全国政協礼堂が竣工した。建築面積1万6000㎡、床面積5600㎡で、中庭にあたる政協文化広場もある。

3月の政協の全体会議は人民大会堂で開かれるが、この歴史的建造物ではいまでも、政協の常務委員会を開催している。それ以外には、ほとんど使用されていないが、武装警察によって厳重に警備されている。

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