「日本にはスタートアップとM&Aの数、そして失敗の共有が足りない」 『未来をつくる 起業家』著者、ケイシー・ウォール氏に聞く
『未来をつくる 起業家』著者のケイシー・ウォール氏

「スタートアップのエコシステムに貢献したい」

「スタートアップが少ない。M&Aが少ない。そして、失敗の共有が足りていない」。日本発のスタートアップ起業家20名のストーリーを収録した『未来をつくる 起業家』著者のケイシー・ウォール氏はスタートアップシーンの現状をこう表現する。

同著では、ニュースキュレーションアプリ、Eコマース、翻訳、福利厚生、人材、クラウドソーシング、旅行、インテリア・・・多様な起業家のこれまで、そして現状を切り取っている。

【収録されている起業家(敬称略)】
・小林 清剛(創業者 & CEO Chanoma Inc.)
・木村 新司
Angel & co-CEO Gunosy)
・南 壮一郎
創業者 & CEO BizReach)
・村田 マリ
創業者 & CEO iemo
・光本 勇介
創業者 & CEO ブラケット
・柴田 陽
創業者 & CEO Spotlight
・Robert Laing & Matthew Romaine創業者 & CEO / 創業者 & CTO Gengo)
・福山 太郎
創業者 & CEO AnyPerk)
・井口 尊仁
創業者 & CEO DokiDoki)
・柿山 丈博
創業者 & CEO MONOCO)
・平野 未来
創業者 & CEO Cinnamon)
・倉富 佑也
創業者 & CEO Panda Graphics)
・秋好 陽介
創業者 & CEO Lancers)
・山本 敏行
創業者 & CEO ChatWork)
・須田 将啓
創業者 & CEO エニグモ)
・坂井 光
創業者 & CEO インタレストマーケティング)
・河端 伸一郎
創業者 & CEO Interspace)
・武藤 友木子
President Travelzoo Japan)
・林 郁 & 伊藤 穰一
共同創業者 デジタルガレージ)

ウォール氏はリクルーターと投資家という2つの顔をもつ人物だ。これまで15年ほど人材紹介業を経験し、5年前に日本で起業。東京本社のほか、福岡やサンフランシスコに支社があり、今秋にはベルリンにもオフィスを構える予定。現在は約60名の社員が働く。「スタートアップのエコシステムに貢献したい」という思いから、3年前からレッドブリックベンチャーズ(Red Brick Ventures)というベンチャーキャピタルも立ち上げている。

ベンチャーキャピタリストとしては、コワーキングスペースを回り、コミュニティづくりに注力。リクルーターとしては、人材ネットワークを通じて30~40代に会ってきたが、ウォール氏が日本で起業した2010年当時は起業家になる人、スタートアップに転職する人が少なかったという。「仕事を探すときは、情報が少ないので、心配や悩みが多いです。でも、20~40代であればスタートアップの経験は生きると考えています。特に外資系はそういう経験を買ってくれると思うし、失敗してもどういう学びがあったのかに変えることができれば」。

ただ、5年前と比較しての明らかな変化は「スタートアップを立ち上げる人が多くなったこと」だとウォール氏。「大学生だけでなく、大企業の幹部経験者の転職や連続起業家も増えたことで、投資額やM&Aが格段に増えました。ただ、起業家経験のある投資家が少ないことは課題だと感じます」。本書に登場するなかでは、スマホ向け広告配信事業のアトランティスをグリーに売却経験のある木村新司氏(元グノシー代表)やスマホ向け広告配信事業を手がけるノボットをKDDIに売却後、起業家・投資家として活動する小林清剛氏、MITメディアラボ所長の伊藤穰一氏らが起業経験のある投資家に当てはまる。このような人が増えることで、スタートアップを取り巻くエコシステムが成熟していくのだろう。