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ビジネスマン必読 好調のときこそ、変わる勇気を持て 三越伊勢丹社長(大西洋氏)「日本一の売り場」のつくり方

物は売れなくなる。お店の数も減るだろう。日本一とて、安泰ではない。そんな未来が見えているからこそ、生き残るために変化が必要なのだ。決断し続ける経営者が、物売る人の覚悟を明かした。

百貨店のイメージを変えたい

「好調」と言えるかどうかわかりませんが、東京オリンピックに向けた開発、地方や海外からのお客様の増加もあって、首都圏エリアは数字上、形が整い、いい業績を上げています。

昨年の訪日外国人旅行客は1300万人を超え、今年は1500万人を超える見込みです。これはわれわれ小売業界にとって、間違いなくプラスになっています。空の玄関である羽田空港に出店したイセタン羽田ストアも非常に業績がいい。なかでも恩恵を受けているのが基幹店である伊勢丹新宿と三越銀座です。

現在、全体に占める外国人の方によるお買い上げシェアが、新宿は7%ほど、銀座は13~14%にもなっています。

一般的に百貨店が取り扱う商品をカテゴリー別に見ると、売り上げに対するシェアが全体の10%を超えているのは「婦人服」、ハンドバッグや靴、アクセサリーなどの「婦人雑貨」、そして「食品」です。特に婦人服はどの百貨店でも30~40%のシェアを占めるため、婦人服フロアを三~四つ設けている。そう考えれば、外国人の方のシェアが10%を超えた時点で、外国人専用のフロアを一つ作ることを考えなければなりません。

外国人のお客様がどこで何を買えばいいかわかりづらいお店では失礼にあたります。また、土曜日の朝などは開店と同時に外国人の方でカウンターがいっぱいになってしまうので、日本人の方が買えないというクレームが相当あるのです。

そこで銀座では、8階に市中免税店のフロアを作るという判断をしました。当初の計画よりも少し遅れていますが、今年中には完成予定です。

長らく低迷していた百貨店業界が業績を回復し始めた。中でも気を吐くのが、最大手の三越伊勢丹ホールディングス。グループ全体と単館(伊勢丹新宿)売り上げどちらの指標でも業界の首位を走り、基幹店では数百億円規模の店舗改装も終了した。先頭に立つのは「百貨店業界の風雲児」と称される大西洋社長(59歳)だ。

昨今の百貨店業界では日本人相手の商売だけでなく、中国人「爆買いツアー」に象徴されるように、いかに外国人旅行客を取り込むかが、売り上げを大きく左右するという。

時代の要請に応じて変化させていくのは売り場だけではありません。従来の百貨店のイメージを脱ぎ捨てた、新たなビジネスモデルにも挑戦しています。

例えば中小型店をオフィスビルや駅ビル、空港にまで出店させる一方で、百貨店が遅れをとっているネット上で新たなショップも展開する。旅行事業や人材サービス事業、ブライダル事業も本格化させる予定です。