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そしてみんな読み間違える「5月暴落説」「ギリシャ・デフォルト説」をどう見るか 株価2万円——「不安」と「期待」の情報戦

黒田総裁にはさらなる緩和の期待が寄せられる〔PHOTO〕gettyimages

「セル・イン・メイ(5月は売り)」という相場の格言があるが、一見好調な今年の市場にも「危機」は迫っているのだろうか?ギリシャ問題など、懸念材料山積の世界経済と日本の今後を読み解く。

「我々は待ちかまえている」

「5月の相場は荒れやすいというのは、この業界の常識です。今年に入ってからの日本株は、ほとんど一本調子で駆け上がってきた。私の周りでもそろそろ手仕舞いのタイミングを探っているファンドが多い。

いまは世界的に金融緩和が行われていて、おカネがジャブジャブになっている。ある意味でリーマンショック前よりもひどい信用バブルが起きている。これが弾けたらとんでもないことになりますよ。下げが大きければ大きいほど、空売りをしかける連中にとっては逆にチャンス。今から市場の崩落を待ちかまえるファンドも出てきました」

こう語るのは、シンガポールに拠点を置く日本人ヘッジファンド・マネジャーだ。

日経平均は4月22日に終値ベースで2万円超えを達成した。相場が新局面に入ったことは間違いなく、なかには社員全員に「大入り袋」が配られた証券会社もあった。

確かに、2万円を超えたフィーバー感はある。だが同時に、市場関係者のあいだでは、あまりに駆け足な上がり方に警戒感も生まれている。勢いに乗って買い上がりたい。しかし、上昇ペースから見て、早晩、暴落と呼べる事態が起こるかもしれない—期待と不安の二律背反に、市場の参加者たちは苦悶しているのだ。

相場の緊張感を高めている要因の一つは、冒頭のヘッジファンド・マネジャーの言うとおり、5月相場のジンクスだ。マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆氏は、俗に「セル・イン・メイ(5月は売り)」と呼ばれる相場の経験則には裏付けがあると語る。

「過去20年分の日経平均の月別パターンを見ると5月は1・5%のマイナスで、8月、10月と並んで値崩れを起こしやすい月だということが統計上明らかになっています」

カブドットコム証券のチーフ・ストラテジスト河合達憲氏は、「実はこの相場格言には続きがある」と解説する。

「本来は『5月で売って、去れ。しかし9月に戻ってくるのを忘れるな』というフレーズです。5月の高値で利益確定してバカンスを楽しみ、欧米の新学期にあたる秋口に帰ってこいというわけですね。日本の場合は時期が若干ずれますが、4月に決算の予想が出て買いが入り高値を形成し、5月に決算が発表になると好材料が出尽くして売られる傾向があります」

5月の暴落—。なかでも最近では'13年5月の急落が記憶に新しい。

「'13年5月23日、日経平均は1日で1000円以上も下落しました。あの時は前夜にアメリカでFRB(連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長(当時)が、量的緩和の縮小について言及し、米国株が売られ、日本株も引っ張られた。今回もイエレン現議長が利上げについて具体的な話をしたら、売り一色になる可能性は大いにありえます」(株式評論家の渡辺久芳氏)

日経平均はこの1年あまりで約1・5倍も上がってきた。とりわけ年初からは急ピッチだったので、ひとたび調整を迎えると「1万8000円くらいの水準は想定しておくべき」(前出の渡辺氏)という声もある。

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