欧米の一流大学のスタイルとも違う? 東大准教授・松尾豊さんに聞く「シンガポール国立大学(NUS)の研究環境」
松尾豊・東京大学准教授(右)と著者

グローバルトップ大学を目標に改善を進めるNUS

今回は、シンガポールでも活動している日本人研究者のコメントを通じて、シンガポールの大学・大学院の教育・研究環境について紹介します。

話を聞いたのは、東京大学の松尾豊准教授です。大学時代の部活の先輩である松尾さんは、若手の人工知能研究者としてメディアを含めて大活躍しています。さらに2014年からシンガポール国立大学(以下、NUS)にも所属しているということで、今回インタビューを実施しました。

松尾さんは、昨年3月にNUSの客員准教授に就任し、それ以降は1年のうち半分弱をNUSで、残りを東大で過ごすという生活をしています。松尾さんは以前にスタンフォード大学にも2年間滞在し研究をしていましたが、新たな活動の場としてNUSを選んだ理由として、国際的な評価が急速に高まっていることを挙げています。

NUSは近年、大学ランキングで世界20位台にまで急速にランクを上げてきており、アジアNo.1の座を東大と競っています。ただ、松尾さんに言わせると近い将来に東大がNUSに逆転されるのは必然のようです。国全体のプレゼンスが今後も落ち続けそのことがアカデミアにも悪影響を与える日本に対して、さまざまな分野で世界トップクラスの人材を集めているシンガポールの大学とはモーメンタムがまったく異なり、大学ランキングでNUSが東大を逆転し、その後も差が広がり続けるのは避けられないと話しています。

東大サイドではアジアの大学No.1の座を争うNUSのことを意識している教員は少なく、松尾さんも同僚からなぜNUSにも在籍しているのか聞かれることもあるようです。一方、NUSも東大のことは眼中になく、教員の質もカリキュラムもすべてアイビーリーグやスタンフォード、オックスブリッジなどグローバルトップ大学を目標に改善が進められているようです。松尾さんは、長期的な研究生活を見据えて、日本と地理的にも文化的にも近いアジアにおいて最も勢いのある、シンガポールのアカデミアで研究することの意義は大きいと考えています。