2011.05.11(Wed)

今こそ考える!なぜ日本は食料輸入大国になったのか Vol.3

生きるためにいちばん大切な「食」の話

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政府は「家畜のえさになる小麦や大豆、トウモロコシは、アメリカをはじめとした外国から輸入する」とも決めた。〔PHOTO〕gettyimages

文:柴田明夫

vol.2はこちらをご覧ください。

肉の消費増が食料自給率に与えた影響

 この食生活の変化に、政府はどう対応しようとしたか?

 前述した一九六一年の「農業基本法」の制定には、コメを日本の最重要作物と定め、機械化して増産を図るという狙いとは別にもうひとつ目的があった。

 それは、「国内の畜産農家を育成して畜産を振興し、所得向上によって需要の拡大が見込まれる肉や乳製品などを国産でまかなう」というものだ(これを専門用語では「選択的拡大」という)。

 そして、これとは逆に「家畜のえさになる小麦や大豆、トウモロコシは、アメリカをはじめとした外国から輸入する」とも決めた。いわば「選択的縮小」を図ったんだ。これには二つの理由があった。

 ・狭い日本の国土では、莫大に必要になる飼料作物をまかなえない。
・国産より外国産のほうが安い(もう少し詳しく説明すると、各国が国産よりも安い外国産を輸入することが世界全体の利益につながるという、一九世紀に活躍したイギリスの経済学者、デヴィッド・リカードが提唱した経済理論「比較優位説」が根拠になっている)。

 この結果、海外から安い小麦や大豆、トウモロコシが大量に入ってくるようになった。そして、それまでこれらの穀物を作っていた国内の農家の多くは経営的に厳しくなって生産をやめていってしまったんだ。

 この政策が食料自給率に与える影響はとても大きい。食肉を生産するには大量のえさが必要になるけれど、それを国産ではまかなわずに、外国からの輸入に依存するからだ。
ここに日本の食料自給率が低下した最初の大きな原因がある。

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