米倉誠一郎の「2枚目の名刺」を持とう
第5回 1枚目の名刺でポジションを築く

米倉さんの最新刊『2枚目の名刺 未来を変える働き方』(講談社+α新書5月20日刊)

一橋大学イノベーション研究センター教授で六本木アカデミーヒルズの「日本元気塾」塾長でもある米倉誠一郎さん。米倉教授が提唱する新しい働き方を通称 「2枚目の名刺」と名付けました。5月20日には『2枚目の名刺 未来を変える働き方』(講談社+α新書刊)が発売になります。

その「2枚目の名刺」を使いこなす働き方の大事なエッセンスを、10回にわたり米倉教授の短期集中講座としてお届けしています。

第1回『「2枚目の名刺」をまず作ってしまえ』、第2回『月並みだが大切なのは「2枚目の名刺」に込める志』、第3回『人生の多角化は強い』、第4回『チェンジ・オブ・ペース』。今回は『1枚目の名刺の大切さについて』です。

 会社に抗ってまで「2枚目の名刺」を作るな

2枚目の名刺を持つために、本業で在籍している組織ともめたり、評価を下げたりしては本末転倒だ。

ここまでは、外に出て行く話を中心にしてきたが、会社の中での評価・ポジションをきちんと取っていることも大事だと思う。「あいつ、会社の中では使えないから、外でフラフラしている」と言われるようでは、外に出ても信用されない。

やはり会社の中でも2枚目の名刺のおかげで、いきいきとして働いているし、新しいアイデアも出るし、プレゼン資料の出来もいい、そんなプラスの影響を与えるような働き方をするべきだ。

そもそも、本業をないがしろにすると、外でもまず結果は出せない。いずれにせよ、自分自身が置かれている環境のなかで、抗うことは得策ではない。

組織に縛られるな、とよく言われる。そのマインドは大切だが、組織とムダな軋轢が生じると本来自分がやれるべきことが阻害されかねない。どうしても妥協できないことと、自分の面子の問題程度のことはしっかり見極めて闘う時と場所を選ばないようでは、2枚目の名刺は有効活用できない。

『えんぴつの約束』という本がある。発展途上国に250校くらいの学校をつくったNPO「ペンシルズ・オブ・プロミス」の創業物語である。

同NPOの創始者アダム・ブラウンはペンシルヴァニア大学の学生時代、途上国を旅するなかで貧しい子どもたちに「何が欲しい?」と聞いて回っていた。「鉛筆が欲しい。鉛筆があれば勉強ができるから」という答えが多く返ってきたことに驚く。車、ステレオ、カメラ、携帯などを超えて圧倒的に「えんぴつ」が多かったのである。

その経験を基に、彼は「ベイン・アンド・カンパニー」というアメリカでも指折りのコンサルティング会社で働きながら、NPOを立ち上げて途上国における学校づくりをスタートしたのだった。

彼も2枚目の名刺ホルダーだった。ベインでは厳しい上司にいじめられることもあった。大切なNPO活動の寄附集めパーティの日に限って、上司は山のような仕事を命じたりした。彼は、ここで負けては意味がないと、必死で時間をやりくりしながら、会社の仕事を120%やり通した。このストーリーが、彼の2枚目の名刺をさらに輝かせることになる。

会社に抗っても意味がない。その機会をどう捉え、どうやって克服するか。まずは自分がいま居る場所で結果を出す。そこが大事なポイントだと思う。

(この連載は、『2枚目の名刺 未来を変える働き方』(講談社+α新書5月20日刊)の第5章のエッセンスを10回に分けて連載しています)

米倉誠一郎(よねくら・せいいちろう) 日本元気塾塾長。一橋大学イノベーション研究センター教授。
1953年東京生まれ。アーク都市塾塾長を経て、2009年より現職。
一橋大学社会学部、経済学部卒業。同大学大学院社会学研究科修士課程修了。ハーバード大学歴史学博士号取得(PhD.)。
1995年一橋大学商学部産業経営研究所教授、97年より同大学イノベーション研究センター教授。2012年〜2014年はプレトリア大学GIBS日本研究センター所長を兼務。
現在、一橋大学の他に、Japan- Somaliland Open University 学長をも務める。また、2001年より『一橋ビジネスレビュー』編集委員長を兼任している。
イノベーションを核とした企業の経営戦略と発展プロセス、組 織の史的研究を専門とし、多くの経営者から熱い支持を受けている。
著書は、『創発的破壊未来をつくるイノベーション』、『脱カリスマ時代のリーダー論』、『経営革命の構造』など多数。今回の連載の「2枚目の名刺」をテーマにした最新作『2枚目の名刺 未来を変える働き方』(講談社刊)が5月20日発売となる。 

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http://www.academyhills.com/


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