「自分の意見を伝えられる子どもに育てる」
【第6回】表現力とは「分解して、特定して、引き合いに出す」こと

〔PHOTO〕Thinkstock

【第5回】はこちらをご覧ください。

自分の意見を言うために必要なこと

「自分の意見を言う」と考えると、「発信力を鍛えよう」「語彙を増やそう」「物おじせずに話せるようになろう(人前でも緊張しないで話せるように鍛えよう)」というようなことを思い付くかもしれません。ですが、自分の意見を言う際に必要なのは、単に「言う」ということだけではありません。

「自分の意見を言う」ためには、クリアしなければいけない段階があります。それは、

1)自分の考えを、自分で把握する
2)自分の考えを、頭の中で整理し、まとめる
3)自分の考えを、言葉にして相手に伝える

の3段階です。

自分の意見を他人に伝えるためには、まず自分がどんな意見を持っているのか、何を言いたいのかを自分自身でわかっていなければいけません。「そんなこと、当たり前でしょ」「わざわざ考えなくてもわかるよ」と思うかもしれませんが、じつはそんなに簡単ではないのです。

この連載で何度も触れているように「どう思った?」では何も言葉が出てきません。「日々の生活でどう感じている? 率直に言ってください」といきなり聞かれても、ほとんど人が何も言えないでしょう。「どう感じてるって聞かれても・・・」と困惑するだけだと思います。

自分が考えていることを言葉にしたり、文字にしたりするのはそれなりに難しいことです。大人ですら難しいのに、子どもがそれを簡単にできるはずがありません。

「話し方」や「発表」のトレーニングをする前に、まず自分が言いたいことが何なのか、を把握することが重要なのです。

この場合、「把握」というより、「発掘」と言った方がいいかもしれません。何かを見たり経験したりした時、自分は何かしらのことを感じています。でも、感情を言葉にすることに慣れていないと、その感情をうまく他人に伝えることができません。雲をつかめないのと同じで、そこに存在していることはわかっても、言葉にできないのです。

なので、まずはその"埋もれた感情"を自分の中で固めます。そして次に、その発掘した感情を整理し、まとめます。ひとつの事柄でも、いろいろな感情を覚え、いろんなことを「言いたい」と思うでしょう。脳の中にある時はそれでも構いません。でも、他人に伝える時には、言葉にしなければいけませんね。そして、言葉にして伝えるためには、情報を取捨選択したうえで、整理しておかなければいけません。

おでことおでこをくっつけただけで考えていることが全部伝わったらいいのですが、現実にはそうはいかないので、言いたいことを整理する必要があるわけです。そして、ここまできてようやく「言葉にして発信する」「相手に投げかける」ことができます。

子どもに「自分の意見をしっかり言いなさい!」と求めている大人はよく、「もっと大きな声で話しなさい」「相手の目を見て話しなさい」というアドバイスをしています。でも、本当はそこじゃないんですよね。

いくら大きな声で、相手の目を見て話すことができるようになっても、それだけでは何の意味もありません。その前段階で何を言いたいかがわかっていなければいけませんし、相手に伝えるためには、伝える内容を整理できていなければいけません。

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