青山学院大学陸上競技部監督 原晋「箱根駅伝連覇私はこう考えている」 戦いはすでに中盤戦 
『魔法をかけるアオガク「箱根駅伝」制覇までの4000日』刊行記念

「普通に走れば楽勝です」。奇跡と囃された勝利から4ヵ月。指揮官にとって、連覇への見通しはすこぶる明るいようだ。作り上げた指導メソッドはもちろん、強烈な成功体験が選手に魔法をかけた。

全員が勝つ旨みを知った

箱根駅伝で優勝して以降、雑誌の取材、テレビ、ラジオの出演を立て続けにこなしました。自分でも驚くほど、皆さんからお声掛けをいただいています。青学の勝ち方はもちろん、今までの陸上界の常識と異なる私の指導法や経歴がそれほど異色だったかと改めて驚いております。

歓喜の瞬間から4ヵ月。新春の第91回箱根駅伝を初制覇した青山学院大学陸上競技部の原晋監督は、現在の多忙ぶりを「一発当てたお笑い芸人のようだ」と笑う。中国電力のサラリーマンとしての10年間を経て、'04年春に同校監督に就任。営業マン時代に培ったノウハウを活かした、その類を見ない手腕が脚光を浴びている。

選手の自主性を引き出すため、話し合いをさせてその年のテーマを決めさせる。目標を明確にさせるためのシートを作る。普段の心掛けは紙に書いて学生の目につくところに張り出す。モチベーションを上げるための最良の方法として成功体験を与える。

これらはみな、私が営業マンのときに身をもって学んだことで、選手の指導にもそのまま応用してやっています。

つまり私の行っている成功メソッドは、社会で働くサラリーマンに置き換えていただいても役立つものだと思うのです。

そんな思いで、先日刊行した『魔法をかける アオガク「箱根駅伝」制覇までの4000日』(講談社刊)に詳細をまとめました。

ただ、こうして偉そうに話していますが、右肩上がりのエリート人生を歩んできたわけではありません。何度も挫折を味わいました。中国電力には陸上部の1期生として入社したのですが、期待に応えられないまま引退。

社業でも同期から大きく後れをとり、「穀つぶし」と思われていました。

そこから、営業マンとして社内トップの成績を出すまでの経緯も拙著に書きましたが、それでも中電時代にはダメ男のレッテルが付いて回ったものです。そんな過去と決別できた最大の理由は「覚悟」を持ち、退路を断って、青学の監督に就任したからなのです。

依頼される講演は一般企業の管理職、新入社員向けから、学生あるいは教職員など教育現場向けまで、伝える相手は様々。北海道から鹿児島まで、オファーは50本を超えています。すべてを受けることはできませんが、営業マンの性で頼られると無下に断れません(笑)。