特集 創造的復興へ
「構想会議」がビジョン作り

東日本大震災復興構想会議であいさつする菅直人首相=首相官邸で4月14日

 戦後最大の災害となった東日本大震災から2カ月。被災地の生活基盤の再建には程遠く、福島第1原発の周辺住民の強制的な避難が続くなど被災地は厳しい状況が続いている。一方で、政府は「東日本大震災復興構想会議」を立ち上げ東北をよみがえらせるビジョン作りに着手した。大規模な復旧予算を組んだ11年度第1次補正予算を成立させ、さらに復興へ向けて第2、第3の補正予算編成にも取り組む。

 だが、その財源をどうするか。最悪の「レベル7」になった原発事故をいかに収束させるか。放射能被害への補償は・・・。前例のない災害との国を挙げた戦いが続く。

6月に「創造的復興」への第1次提言

 菅直人首相は復興構想会議の議長に、五百旗頭真防衛大学校長を指名した。政治学者で神戸大教授時代に阪神大震災(1995年1月17日)に遭遇し、「ひょうご震災記念21世紀研究機構」で災害対応や復興を研究した経験がある。議長代理には御厨貴東大教授が総合調整を担い、各分野の専門家を擁する検討部会の部会長には飯尾潤政策大学院大学教授と、復興ビジョン策定の中枢に気鋭の政治学者が起用された。

 会議のメンバーには、もう一人の議長代理として建築家の安藤忠雄東大名誉教授や、東北に縁がある脚本家の内館牧子氏、作家で僧侶の玄侑宗久氏ら著名人、大西隆東大教授(都市工学)と河田恵昭関西大社会安全学部長(巨大災害、危機管理)ら学識経験者、被災地の岩手、宮城、福島3県の知事ら計15人。検討部会は19人の専門家が集められた。

 会議は5月中旬に論点整理をし、6月末までに第1次提言をまとめる方針だ。検討部会も同時並行して議論を進める。

4月14日の会議の初会合で首相から諮問された五百旗頭氏は、会議の基本方針に関するペーパーを示した。

柱は

①超党派の、国と国民のための復興会議とする
②被災地主体の復興を基本としつつ、国としての全体計画をつくる
③単なる復興でなく、創造的復興を期す
④全国民的な支援と負担が不可欠
⑤明日の日本への希望となる青写真を描く

---とした。

 復興財源として義援金と公債発行に加えて「震災復興税」を明記したことが波紋を広げた。記者会見で五百旗頭氏は、震災復興税を第1次提言に盛り込むことは「国民全体で負担することを視野に入れなくてはならないが、具体的にはこれからだ」と明言を避けたが、初会合から新税創設の議論をテーブルに載せたことに「官邸の代弁をしているのでは」とうがった見方も出た。

 閣僚からも「本来、政治の最重要課題の一つだ。学者や有識者の皆さんに正面から論じてもらうテーマでは必ずしもないのではないか」(片山善博総務相)など批判的な反応も出た。

 また、原発災害への言及がなかったことについて、特別顧問の哲学者、梅原猛氏は「原発問題を考えずに、この復興会議は意味がない」と話すなど、議論の方向性を巡りひと悶着ありそうだ。

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