医療・健康・食
全国一の農協がある田原市で出馬した農協改革派・岡本さんの意味ある落選

今回の統一地方選挙では、投票率が過去最低を記録し、無投票当選者も増加して空洞化が進んだ。その大きな要因は、大きな争点がなかったことと、地方の首長や議員になる人材が枯渇して、投票したいと思えるこれはという候補者がいなかったからだ。

その一方で、地方には高齢化や過疎化などの課題が山積されているうえ、安倍政権の地方創生策は、自助努力する地方自治体を支援する流れになっている。地方自治体の「経営力」が問われる時代になったが、その経営力を一義的に担っていくのは、首長であり、議会だ。首長や議員になる人材が枯渇するようでは、東京や大阪など大都市圏以外の地方の多くは、大都市圏との格差が広がって衰退の一途を辿り、一極集中が加速するだろう。

 単独農協全国1位のエリアで改革派が出馬

こうした中で、大変有意義な選挙戦があった。4月26日に投開票があった愛知県田原市長選挙だ。政策論争で盛り上がったため、全国では軒並み下がった中、投票率は4年前の62%から0.37ポイント上昇して62.37%になった。

「価値ある落選」の岡本重明氏(筆者撮影)

筆者も投開票日前日の25日に取材に現地に入ったが、盛り上がっていることが肌で感じられた。

田原市は渥美半島に位置し、その先端には伊良湖岬がある温暖な全国有数の農業地域である。そこに本拠を構えるJA愛知みなみの売上高は、全国の単独農協の中では1位。菊などの花卉類や、キャベツ、ブロッコリー、メロンなどの栽培が盛んだ。一方、トヨタ自動車本体で最大の「レクサス」を生産する田原工場がある。農業と工業が盛んな裕福な街でもある。

選挙戦を盛り上げる大きな功績を果たしたのが、以前に本コラムでも取り上げた「変人農家」こと、農業生産法人・新鮮組の岡本重明(54)社長だ。この岡本氏のことを改めて紹介すると、30年近く前から補助金に頼らないで収益の出る農業を目指し、調達や販売のグローバル化にも力を入れてきた。そして堂々と農協不要論を唱えてきた人物である。