第8回ゲスト:中谷巌さん (前編)
「ピケティが叩かれるのは、強力な富の再分配なしに資本主義が永続できないことを指摘したからです」

〔写真〕峯竜也 〔構成〕小野塚久男 〔撮影協力〕BAR STING

経済学の泰斗に、話題のピケティを解説してもらう

島地 あー、重たい。日野、本が分厚すぎてバッグがパンパンになったぞ。

日野 なんですかそれは。あ、トマ・ピケティの『21世紀の資本』じゃないですか。島地さんがその手の本を読むとは知りませんでした。

島地 本屋に行くと平積みになっていて、いやでも目に付くんだよ。話題になっている本が気になるのは、何歳になっても変わらない編集者の性だな。

日野 で、その分厚い経済学の本を読んだんですか?

島地 もちろん、ざっと見た。

日野 見た? 編集者の端くれとして気になるので、内容をかいつまんで教えてください。

島地 まかせておけ、といいたいところだけど、統計データが多すぎていま一つピンと来ない。そこで、今回は頼もしい助っ人をお招きしたぞ。私が最も尊敬し、かつ信頼している経済学の泰斗、中谷巌先生だ。

日野 島地さんの謎の人脈にはいつも感心させられますが、中谷先生ともお知り合いだったとは。畏れ入りました。

中谷 島地さんとのおつき合いはもう20年ぐらいになりますか。島地さんが集英社インターナショナルに移って、『痛快! 経済学』を出版した頃が懐かしい。

島地 あれはすばらしい本でした。初版3万部で、その日のうちに増刷が決まり、最終的には30万部以上のベストセラーになりました。ピケティの『21世紀の資本』が我々の『痛快! 経済学』よりすぐれているとは思いませんが、世界的なベストセラーとなったのは事実です。そこで、ハーバード大学でPh.Dを取得し、政府のブレーンを何度も務めた碩学に、この本の言わんとすることをご教示いただければと思った次第です。

日野 今回は贅沢な特別講義ですね。珍しくためになる内容を掲載できそうで、担当としてはうれしい限りです。中谷先生、どうぞよろしくお願いします。