学校・教育
大学改革に果敢にチャレンジする近畿大学の取り組み
「水産研究所のあゆみ」---近畿大学水産研究所のウェwebサイトより

近畿大学が最近注目を集めている。直近では、ホリエモンの卒業式スピーチや、つんくの入学式での登壇が話題となった。同大学は建学の精神に「実学教育」を打ち出しているが、なんといっても知名度を一気に高めたのはクロマグロの養殖に成功したことが大きいだろう。食事時になると大阪グランフロントや東京銀座の『近畿大学水産研究所』の前にはいつも長蛇の列が続いている。

クロマグロの完全養殖は歩留まりが取れず極めて難易度が高いとされてきたが、2002年に世界で初めて成功した。およそ30年の歳月をかけた取り組みが実を結んだのだ。商品化や流通には豊田通商やサントリーなどが協力しているが、食品の世界で、大学が研究成果を生かし、自ら生産したものを、産官学の連携で専門料理店にまで出して消費者に直接提供するケースは初の試みとされる。次のテーマとしてウナギの完全養殖にも挑戦しているそうで期待したい。

ところで、この近畿大学は、実学教育を標榜しているだけあって、さまざまなことに対する取り組みが先例や常識に捉われることなく、面白い。昨年はアマゾンジャパンと、「教育、研究、学生サービス充実を図るための連携協定」を締結した。アマゾンジャパンが教育機関と連携協定を結ぶのも同大学が初めてという。この協定に基づき、同大学では「amazon.co.jp」での教科書販売を本格的に実施すると発表した。

同大学の東大阪キャンパスは8学部と短期大学部、大学院からなり、学生総数は約2万3000人の規模を誇る。学生用ポータルシステム「近大UNIPA」上で自分の履修する授業を確認し、そこからリンクされたアマゾンのオンラインショップで教科書を購入することができる。協定締結直後の昨年後期も、アマゾンの特設サイト「近畿大学教科書ストア」で教科書を購入することができたが、今年は学生の履修確認システムが直接オンラインショップにつながったことで、利便性が格段に高まった。

教科書販売の世界はそもそも既得権益の世界で、この「今さら?」というレベルの「改革」を断行するのですらさまざまあったようだが、学生にとっては、教科書一斉販売時期の学内書店の大混雑を回避できるので好評のようだ。また、この連携によって、大学が発行する授業計画を必要に応じて印刷する「プリント・オン・デマンド」も出来るようにしたそうで、これまでは、数百ページに及ぶ授業計画を印刷製本して学生に一冊ずつ配布していたものを大幅な事務合理化とコスト削減に繋げた。

大学改革も一歩一歩なのだろうが、近畿大学のようなチャレンジャー精神のある大学が増えていけば日本の産学連携のレベルもさまざま変わっていくことだろう。