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「気が付いたら3万円、そんな日が……」 武者陵司×真壁昭夫対談
「株価2万円」ニッポン経済に何かが起きる
'89年の史上最高値を塗り替える日は来るか?〔PHOTO〕gettyimages

上昇か、下落か、調整か

真壁 4月10日、日経平均が2万円を超えました。2万円の大台に乗せるのは'00年4月以来で、15年ぶりです。ちょっと上昇のペースが速いかなとは思いましたが、驚きはありませんでした。まだ上昇の余地があるでしょう。納税の資金が必要になってくる6月前後には多少値崩れするかもしれませんが、夏場から秋口にかけて2万2000円くらいまで上げてくるのではないか。

武者 私はより強気で、年内に2万5000円、そして来年から再来年にかけて3万円も視野に入ってくると思います。

資産には適正価格というものがあります。これは本質的には、その資産を持つことでどれだけのリターンが得られるかで決まる。現在は銀行預金の金利がほぼ0%、国債利回りが0・3%という状態です。一方で日本株の配当は平均1・6%ですので、とてもリターンの高い資産と言えます。まだまだ株式を割安な資産だと考える人が増えてもおかしくはない。

真壁 それはかなり強気なご意見ですね。確かに、現在の株高は高い企業収益という裏付けがあるので、まだバブルという水準ではない。ただし、株価がこのまま上昇を続けられるかは、今後も企業収益が上がり続けるかにかかっています。

武者 この20年で日本の企業体質は劇的に変わりました。安値で価格競争をするというビジネスモデルから、高い技術力で高額商品を売るという新しいモデルに転換したからです。スマホの中身を見れば一目瞭然で、コンデンサーもセンサーもそれらを作る精密機械も大半が日本製。しかも価格競争に巻き込まれない品質を伴っている。日本企業はまったく新しいポジションを得たのですから、収益は長期的に伸びていくに違いありません。

真壁 しかし、企業収益以外の面でも株価が調整する要因はあります。

一つは秋口に大型株のIPO(新規公開)が予定されていることです。ゆうちょ銀行やかんぽ生命、そしてLINEのような大手企業が上場するので、多くの機関投資家たちはそれらの株を買うために他の株を売って調整する必要が出てくるでしょう。

もう一点は今年の9月以降の実施が予想されているアメリカの利上げです。

武者 確かに数少ない懸念要因としてアメリカの利上げを挙げる人が多いですが、私は違う意見です。FRB(連邦準備制度理事会)が利上げを決定するということは、本当にアメリカ経済が回復したということの証拠です。逆に景気が腰折れしそうなら、利上げは延期される。

歴史的に見ても、最初の利上げのタイミングで株価が落ちた例はありません。むしろ好調な業績と低金利により、企業など債務者の負担はかなり低くなっており、これから信用増加に弾みがつくという段階です。懸念される新興国不安も、過去の危機のときと比べると対外債務のレベルも低く、心配するにはあたらない。唯一の不安は中国経済の減速ですが、ここしばらくは弥縫策で乗り切れるでしょう。

真壁 本当にそうでしょうか。私も歴史的視点で反論したいと思います。金融危機はほぼ10年サイクルで起きてきました。'87年のブラックマンデー、'97年のアジア通貨危機、'07年のサブプライムローン危機です。そしてそれらの危機の3年前に、アメリカが「利上げ=金融引き締め」を行っているのです。具体的には'84年、'94年、'04年です。

アメリカが利上げすると最初に新興国の市場に影響が出て、3年ほど経つと先進国の株式市場にまでダメージが広がるという構図です。

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