ロフトワーク林千晶代表「男女二人組経営とセレンディピティで挑戦を続ける」
林千晶(はやし・ちあき)
株式会社ロフトワーク代表取締役
1971年生、アラブ首長国育ち。早稲田大学商学部を卒業し、1994年から花王のマーケティング部門に所属。1997年に退社し米国ボストン大学大学院ジャーナリズム学科に留学し、卒業後は共同通信NY支局に勤務。2000年に帰国し、ロフトワークを起業。Webデザイン、ビジネスデザイン、コミュニティデザイン、空間デザインなど、手がけるプロジェクトは年間530件を超える。2万人のクリエイターが登録するオンラインコミュニティ「ロフトワークドットコム」、グローバルに展開するデジタルものづくりカフェ「FabCafe」、クリエイティブな学びを加速するプラットフォーム「OpenCU」を運営。MITメディアラボ 所長補佐(2012年〜)、グッドデザイン審査委員(2013年〜)、経済産業省 産業構造審議会製造産業分科会委員(2014年〜)も務める。

女性起業家の方に経営コンサルタント・多摩大学客員教授の本荘が話をうかがう本連載の第二十六回は、株式会社ロフトワークの林千晶代表取締役に話をお聞きした。

諏訪光洋代表取締役社長との男女二人組の共同経営で発展を続けるマネジメントについて、そしてクリエイティブコモンズやMITメディアラボなど新たな活動に挑む行動のエッセンスについて、探ってみたい。

ネット勃興期の熱気の中、「勢い」で起業

ロフトワークの共同創業者である諏訪は、私が花王に勤めていた頃からの友人です。私は会社を辞めてジャーナリズムを学びにボストンへ、彼はヴィジュアルアートを学びにニューヨークへ留学しました。アメリカで「一緒に何か出来るといいね」と何気なく話ししていたアイディアが、のちのロフトワークの創業につながりました。

ジャーナリズムの仕事をするならニューヨークで、と考えていた私は、ボストンの大学院を卒業後すぐに、ニューヨークの共同通信に入ったのですが、ちょうどインターネットビジネスが面白い時期で、食事中でも、休憩中でも、時間があるとベンチャービジネスの話ばかりしていました。毎日のように色々なインターネット企業が生まれていたので、諏訪と二人で「私たちにもできるよね」と盛り上がって、勢いで起業しちゃったようなものです(笑)

諏訪は戦略家で、仮説を立てて、それが正しく実行されるかどうかを念入りにシミュレーションするタイプ。人を動かすアーキテクチャーに興味があり、組織づくりも得意です。男性の起業家の中では珍しいタイプかもしれませんね。

人の巡りあわせとインターネット勃興期が重なった偶然から、林さんと諏訪さんの男女二人組で起業となったロフトワーク。オレがオレがというエゴが強い男性起業家が多く見られる中で、それらと異なるある種サイエンティストのような諏訪さんの個性も共同創業へつながる要素の一つだ。

男女コンビの経営はいいことばかり

めおと起業家ミーティング! 〜男女2人組"良いあんばい"の企業に学ぶ」というイベントを一年ほど前に開催しました。男女の組み合わせで創業した4組を呼んで、それぞれの役割について探ってみようというイベントでした。

共同創業者がいる場合、一般にはどちらかが夢を語り、どちらかがそれを実現するという役割分担になることが多いようです。しかし、そのどちらが男性でどちらが女性かは、意外と性別では決まっていなくて、会社によって違うことがわかりました。例えば、ロフトワークでは夢を語るのは主に女性の私の役割ですが、ベンチという会社では、男性の横石崇さんがその役割を担っていました。

でも、どの会社の創業ペアも総じて「男女の組み合わせでよかったね」という感想を持っていました。男性にしかできないことと、女性にしかできないことがおのずとあるからです。例えば、女性経営者はどこかお母さん的に社員を支えようとする傾向がありますが、男性はそういうことがあまり得意ではない人も多い。一方、女性は細かな気遣いをするあまり、マイクロマネージメントになりがちです。



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