【物件選びの知恵001】 アベノミクスの死角。新築過剰と空き家増大で、ますます「エリア」と「建物」の見極めが重要に
長嶋修(不動産コンサルタント)
空き家増加加速で、価値の落ちない物件の見極めがますます重要に     photo Getty Images

「国はさらに空き家を増やすつもりなのか?」

これまで我が国は人口増加局面においてさえ、空き家を増やし続けてきた。全国の空き家数は、この10年で1.2倍(659万戸→820万戸)、20年で実に1.8倍(448万戸→820万戸)と無尽蔵に増加していくイメージだ。

すでに人口は減少局面入りしており、世帯数は2020年がピークであるにもかかわらずこのペースで新築住宅を造り続ければ、2040年の空き家率は30-40%になるといった民間シンクタンクのシミュレーションもある。

既に、東京23区でも空き家率は11.2%となっており、豊島区においては15.8%にのぼり、現在、官民で様々な取り組みが模索されている。

資料:総務省 住宅・土地統計調査

2月26日には「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、倒壊や衛生上、景観等の観点から有害と思われる「特定空き家」について、助言や勧告、命令、行政代執行が行えることとした。ただしこの法施行で劇的な改善は望めない。

本法発動のために各基礎自治体は、具体的にはどういう空き家について「特定空き家」と認定するかを決めなければならない。

ほどなく国からガイドラインが出され、それを参照しながら各基礎自治体が意思決定することになるが、これまで条例で指導や勧告、強制代執行を行ってきた空き家対応とは、まず市民から苦情の連絡が多数入り、それを受けて自治体が動くといった非常に消極的なもの。空き家対策法を受けて、自治体がどの程度アグレッシブに動くかにかかっているが、実際にはほんの少数の危険な空き家について対策が打たれるに過ぎず、増加の一途をたどる空き家の本格的な対処にはならない。

そもそも「空き家対策」とは、空き家という「結果」への対処療法に過ぎず、空き家増加に対する本質的な解決法たりえない。